教師と起業家精神(下) 若き獣医師がみた教育への希望


 東京都立国際高校で「生物」を教える佐野寛子教諭は、京都大学大学院医学研究科で研究活動に従事していたことがあり、獣医師免許も所持する、教師としては異色の存在だ。佐野教諭がなぜ教師になろうとしたのか、その経緯などから、教師の役割を問い直す。


生命倫理を上げなければ

――獣医師免許も持っているそうですが、教師になる前は研究者を目指していたのですか。

 東京都武蔵野市にある日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)で学び、獣医師免許と教員免許の両方を取得しました。教員免許を取ったのは、母親の勧めがあったからです。

 自分自身が先天性股関節脱臼症であるので、骨や関節の再生について研究したくて、京都大学大学院医学研究科の博士課程に進みました。再生医科学研究所(現・ウイルス・再生医科学研究所)で研究しており、2階下には、iPS細胞でノーベル生理医学賞を受賞した山中伸弥教授がいました。当時はノーベル賞を受賞するかどうかで毎年マスコミが殺到して取材のスタンバイをしており、風物詩の一つでした。

――どうして、教師になろうと思ったのですか。

 研究を進める傍ら、近くの動物病院で獣医師として研修やアルバイトをしていました。……

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