世界の教室から 各国の消費者教育(4)オーストラリア(上)

大阪教育大学教授 鈴木 真由子

海外の消費者教育情報、第2弾はオーストラリアです。今回は、ナショナルカリキュラムを概観し、消費者教育の位置付けについてご紹介します。

ナショナルカリキュラムの特徴

オーストラリアのナショナルカリキュラムは、三つの要素で成り立っています(図1)。

一つ目は「八つの学習領域(教科)」です。消費者教育の内容は、主に「人文・社会科学」の中の教科「経済とビジネス」(5~10年生)に含まれています。

図1 ナショナルカリキュラムの構造

二つ目は「七つの汎用(はんよう)的能力」(①リテラシー②ニューメラシー③ICT技術④批判的創造的思考力⑤個人的社会的能力⑥倫理的理解⑦異文化理解)です。消費者教育で重視している④や⑥が、カリキュラム全体に位置づけられていることがわかります。

三つ目は「三つの学際的共通テーマ」(①先住民の歴史と文化②アジアとの関わり③持続可能性)です。これらのテーマは、すべての教科で横断的に取り入れることが求められています。

教科「経済とビジネス」における消費者教育

教科目標には、「倫理に基づき積極的に市場に参加することができ、消費者、生産者、貯蓄者、投資者、労働者および市民としての役割、権利、責務を理解すること」や、「消費者関連および金融に関する知識、理解、スキルおよび価値観を取得し、活用し、情報に基づいた効果的な意思決定ができ、あらゆる機会を最大限に活用することにより、自ら設定した目標を達成し、金銭的豊かさを確保するとともに、オーストラリアの経済発展に貢献できること」が示されています。

この教科には、消費者教育に関連した多様な内容が体系的に配置されており、「ニーズとウォンツの違いとその理由」「消費者としての選択の方法や意思決定の影響」(5年生)、「消費や金融に関わる意思決定が個人・コミュニティー・環境に与える影響」「代替資源の利用に関する選択を含んだ機会費用の概念やトレードオフを考慮する必要性」(6年生)、「市場における消費者と生産者の関係」(7年生)などで構成されています。

教科横断的なテーマ「消費者と金融リテラシー」
図2 消費者と金融リテラシー教育におけるオーストラリアカリキュラムの役割

さらに、教科横断的な学習テーマとして、「消費者と金融リテラシー」「食物と繊維」「食物と健康」「野外学習」が設定されています。

「消費者と金融リテラシー」は1年生の前(Foundation Year)から10年生までが想定され、求められる知識・理解およびスキルが、どの教科のどのような学習内容と関連しているのか、どのような汎用(はんよう)的能力の習得を目指しているのか、学年ごとに示されています。

 


筆者注 ナショナルカリキュラムが掲載されているウェブサイトには、知識・理解およびスキルの到達基準(ルーブリック)や重点課題なども収録されていますので、ご参照ください。