
エビデンスがない
――学校の働き方改革を巡る今後の動きとして、どういったことが論点となってくるのでしょうか。
内田 変形労働時間制は働き方によっては、とても合理的です。もし授業のない8月が本当に暇だったなら、その間にできるだけ多くの休みを取得して、学期中の残業分を消化するというのはあり得なくはない。でも、文科省の教員勤務実態調査は10月から11月限定の測定値です。つまり「教員は8月が暇である」かどうか、まだ調査されていない。新しい施策を打つためのエビデンスがないんです。エビデンスがないから何でもできるというところに欺瞞(ぎまん)を感じます。
さらに、1年単位の変形労働時間制を普通の企業で実施しようとすれば、管理が非常に大変で、高度な時間管理の技術が必要です。でも、これまでの学校はそもそも時間管理さえしてきませんでした。煩雑な時間管理をちゃんと実行できるのか。
いくつかの自治体では毎月の労働時間を調べているようで、それを見てみると8月も教員は残業しています。……
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