【公教育の崩壊と再構築】 改革すべきは狭く偏った学力観

米国では学力標準テストの点数で子供を評価し、その点数で学校や教員までもが評価されている――。この話を聞いて、日本も他人事ではないと思う人も多いだろう。「米国で起こった公教育崩壊の波が、日本にもすぐそこまで押し寄せてきている」と語るのは、新自由主義の大きな流れの中で米国の公教育崩壊を捉え、研究を重ねてきた教育研究者の鈴木大裕氏だ。インタビューの2回目は、日本の公教育が抱えている問題の本質や今後の懸念点を語ってもらった。(全3回)
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 ・公教育の崩壊と再構築
全国学力・学習状況調査の対策に追われる教育現場

――米国での公教育の崩壊の波が日本にも押し寄せてきているという見解の根拠について教えてください。

アメリカの教育学者のピーター・タウブマンは、「新自由主義的な教育改革を成し遂げるには、3本のくさびがある」と述べています。

1本目は、学力をテストの点数へと再定義するくさび。2本目は、教員の指導力をテストの点数を上げる能力と再定義するくさび。そして3本目は、カリキュラムの基準からパフォーマンスの基準へとすり替えるくさびです。

日本では2007年、43年ぶりに全国学力・学習状況調査が復活しました。ポイントは抽出式ではなく、あえて悉皆式であるということです。もし、本当に学力を調査することが目的であるならば、抽出式で十分なはずです。

全国学力・学習状況調査は、同時に規制緩和で都道府県別だけでなく、学校別の成績も開示可能になりました。小学6年生と中学3年生の全児童・生徒が受けていて、成績も知ろうと思えば知れるといった時点で、もうすでに市場原理は回り始めているわけです。……

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