【脳科学と教育】開一夫・東京大学教授インタビュー

教育現場で脳科学の知見を活用する動きが広まっている。脳科学によって、教育にどんな可能性が開かれるのか。工学的なアプローチから「赤ちゃん」の認知のメカニズムに迫ってきた開(ひらき)一夫・東京大学教授は、昨年から神奈川県横須賀市の三浦学苑高校で、授業を受けている生徒の脳の血流量をリアルタイムで計測する研究を行っている。開教授に、ICTの活用が学びにどのような影響をもたらすのかを聞いた。

本質は発達の中にある
――工学的に人間の認知を解明するために、特に「赤ちゃん」を対象に研究されていますが、それはなぜですか。
20年ほど前、科学技術振興事業団(現科学技術振興機構)の「さきがけ研究21」という若手研究者向けの研究グラント(競争的資金)に、「ロボットを赤ちゃんの発達モデルに用いる」というアイデアを応募し、採用されたのがきっかけです。ロボットを人間の発達モデルに用いることは、当時としては世界的に見ても画期的だったと思います。

今、人工知能(AI)が人間の能力を追い越すシンギュラリティー(技術的特異点)が訪れるのではないかと騒がれています。現在は機械学習の研究が進み、コンピューターの処理能力も飛躍的に向上していますが、まだシンギュラリティーまでには相当の隔たりがあると感じています。

だからこそ、本質は発達の中にあるのではないかと考えています。……

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