【ブレイディみかこ氏に聞く】空気でなく「人間」を読む

エンパシーとは、誰かの靴を履いてみること――。ノンフィクション『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の中で、中学生の「ぼく」はこう答えている。「ぼく」は、人種差別や貧困など、リアルでヒリヒリした英国の日常を生きている。しかし著者であるブレイディみかこ氏は「日本でも格差や差別、社会の分断が起きている。日本は英国の通った道をたどりつつある」と警告する。「ぼく」がその日常に起こる困難を乗り越えるために学んでいることとは、何なのか。インタビュー2回目は、児童生徒がこれからの多様性社会を生き抜くために必要なスキルについて聞いた。(全3回)

(聞き手・教育新聞編集部長 小木曽浩介、松井聡美)

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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』著者 ブレイディみかこ氏に聞く

◆多様性があるところには分断がある
――『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』では、人種差別や貧困などの格差による英国社会の分断を強く感じました。近年、日本でも格差が問題になっていますが、英国ほどはっきりしたものではなく、危機感をもつ人もまだ多くないのが現状です。
私は、日本でも見えないところでは格差や差別、社会の分断が起きているし、かなり進んでいると思います。例えば、昨年は虐待事件の報道も多かったですよね。英国でも10年ほど前にそうした事件が続いた時期があり、日本は英国の通った道をたどりつつあるという気がしています。

また、政治がかじを切って、外国人労働者を入れるようにしています。そうしたら、その外国人労働者の子供たちが日本の学校に通うようになります。つまり、どう考えても、これから日本はもっと多様な社会になっていく。

多様性があるところには、分断があります。……

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