「子供のために力になる」 コロナ禍で変わるPTA活動

新型コロナウイルスの影響で、これまで通りの活動が困難になったPTA。各地のPTA協議会など、64組織が加盟する「日本PTA全国協議会」では、コロナ禍をどのように捉え、今後の活動の在り方を考えているのか。特集の後半では、清水敬介会長に、これからのPTA活動の在り方や目指す方向性などをインタビューした。

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リモート活用で参加の敷居を低く
――コロナ禍で学校が休校となり、保護者の働き方も変わりました。各地のPTAはどのように乗り切ったのでしょうか。

全てのPTAに話を聞いたわけではないので、あくまでも私の推測ですが、全てのPTAがこのコロナ禍を乗り切れたかと言えば、正直そうではないと思います。今年度の活動は中止にせざるを得ないところも、少なくないのではないでしょうか。その一方で、対面での活動ができない中で、役員会や講演会をリモートで行うなどの工夫を始めているPTAも出てきています。

PTAと学校の連携の重要性が増すと指摘する清水会長

全国協議会では、8月下旬に富山県で開催予定だった全国研究大会を断腸の思いで中止にしましたが、関東ブロックや近畿ブロックの協議会はリモートでの研究大会を開催しました。講演などはYouTubeで配信しましたが、これまで休日に会場へ出向けなかった人が空き時間に視聴できるようになるなど、敷居が低くなったように感じています。

今後は、コロナが収束したとしても、リモートを活用したハイブリッド型の研究大会が主流になるでしょう。今回の試みにはさまざまな苦労があり、実行委員の間でも意見が分かれて徹底的に議論したと聞いています。ぜひその成果と課題を検証して、各地のブロックに広めてもらいたいと思っています。

学校の力になりたい保護者は増えている
――全国一斉休校では、学校の役割の重要性と同時に、家庭と学校の連携も問われたと思います。

子供たちが学校に行きたくても行けず、ずっと家にいる。そんな状況が全国で起きたわけです。どの家庭も初めての経験で、共働きの家庭などは、特に大変だったと思います。

私の地元でもある、愛知県のある学校のPTAの話ですが、休校期間中、先生方が再開に向けて感染症対策を考えているという話を聞き、PTAも学校のために何か協力できないかと打診したそうです。ところが、先生方も「保護者にどこまで『協力してほしい』と言っていいのか分からない」という感じで、連携がうまくとれない状態が続いたということです。

学校再開後、先生方は消毒作業に多くの時間を割いていると聞きます。せっかく働き方改革が始まったのに、そういうことに時間を奪われてしまうのであれば、PTAとしても率先して力になりたい。そして、先生方にはできるだけ、子供たちと向き合う時間を確保してもらいたい。こんなときだからこそ、協力してくれる保護者も増えると思います。保護者は、子供たちのためになるならば手を挙げてくれます。

きっと、この「子供たちのために」ということが私たちの原動力であり、学校ともその目的は共有できているはずです。そこに、これからのPTA活動のヒントがあるように思います。

コロナによって転換期を迎えたPTA
――今回のコロナによって、PTAの活動が問い直されたのではないでしょうか。

それぞれのPTAが「こんなときだからこそ、PTAをどうしていくべきだろうか」と考えさせられる1年でした。今まで当たり前だったことができなくなる中で、子供たちのために、学校のために、PTAとして何ができるのか。そこに正解と言えるものはまだありません。いろいろなことができない状況の中で、中には後ろ向きな意見も出てくるだろうと思います。それでも、やはり子供たちのためにPTA活動が必要だという前提に立って、ポストコロナの新しい方法を模索しないといけません。

その過程では、いかに活動に参画しやすくするかという視点も当然入ってくるでしょう。例えば、リモートが一般的になれば、平日の昼間に学校に集まらずに、仕事や家事が一段落した夜の時間帯にリモート会議をしてもいいと思います。さまざまな事情で参加しづらかった人も参加しやすくなるでしょう。実際に、私たち全国協議会の会議も、緊急事態宣言が出てからは夜のリモート会議が増えました。費用や時間の制約が少なくなるので、対面よりも頻繁に、気軽に行うことができます。

少し悩ましいのは広報紙です。全国協議会では毎年、広報紙コンクールを開催しているのですが、今年はほとんどのPTAが広報紙を発行できなかったのではないかと思います。近年、紙ベースではなくデジタル化すべきだという相談や意見も寄せられているのも確かで、まだ全国協議会として結論は出ていませんが、検討していく必要はあると思っています。

研究大会にしても、日ごろの活動にしても、中止にしてしまうのは簡単ですが、もう一度始めようとしたらゼロからのスタートとなり、大変です。こういうときだからこそ、感染対策をしながらどうすれば実施できるのか、じっくり時間をかけて議論し、知恵を出し合うことが大切です。また、そうした知恵やノウハウをPTA同士で共有していくことも必要で、その橋渡しの役割を私たち全国協議会が果たしていきたいと思います。

70年以上の歴史があるPTA活動が今、転換期を迎えています。こんなときだからこそ、本当にどんなアイデアが出てくるか分かりません。斬新な方法が注目されて、みんなが「いいね」と思ったら一気に広がることだって考えられます。こうなった以上、もう後戻りはできませんから、コロナ禍でやれることを一緒に考えていくしかないと考えています。

(藤井孝良)

【プロフィール】

清水敬介(しみず・けいすけ) 日本PTA全国協議会会長。同協議会専務理事を経て、今年8月から現職。名古屋市立小中学校PTA協議会顧問も務める。


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