新時代の授業や行事を望む声、コロナ契機に 教育新聞読者調査

新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、多くの学校行事が中止や規模縮小を迫られた今年度。一方で、教員にとって過度な負担となっていた学校行事が、本当に必要なものであったのかを問い直す機会ともなった。教育新聞は昨年12月、定期購読者を対象にウェブアンケートを行い、「ポストコロナ時代の教育」をテーマに、学校行事など慣例の見直しや、GIGAスクール構想に伴う1人1台環境の到来などに関する現場の教員の意識を聞いた。全国の教諭や管理職など157人から得た回答では、学校行事の見直しに多くの支持が集まった一方、1人1台端末の活用については、自信のある教員とそうでない教員が分かれる結果となった。


「儀式的行事」には縮小やオンライン化を望む声
儀式的行事や運動会を中心に「縮小」の声が多く寄せられた

学校行事については①入学式②卒業式③始業式④終業式⑤運動会・体育祭⑥文化祭・合唱祭⑦遠足⑧修学旅行⑨校外学習⑩授業参観の10項目について、それぞれ行事の準備も含め「現状のままでよい」「規模を拡大」「規模を縮小」「一部または全部をオンライン化」「廃止」のうち、自分の考えに最も近いものを回答してもらった=図1=。

その結果、入学式・卒業式・始業式・終業式などの儀式的行事は「規模を縮小」「一部または全部をオンライン化」といった回答が多く寄せられた。入学式・卒業式は「規模を縮小」の割合が7割弱と高く、始業式・終業式は「規模を縮小」「一部または全部をオンライン化」がそれぞれ3~4割を占めた。また、保護者が参加する「授業参観」でも、回答に同様の傾向が見られた。

また、運動会・体育祭など健康安全・体育的行事、文化祭・合唱祭など文化的行事についても、「規模を縮小」がそれぞれ7割、6割と多くを占めた。文化祭については「一部または全部をオンライン化」も1割超を占め、文化的な学習や活動の成果をオンラインで発表するという方法が、一部で浸透しつつあることがうかがえる。

他方で遠足・修学旅行・校外学習など、普段の授業とは異なる環境で自然や文化に親しみ、また集団生活を経験する行事については、その教育的な意義を重視してか、いずれも半数弱が「現状のままでよい」と回答し、「規模を縮小」の割合を上回った。

学校行事に関して改革すべきこととして寄せられた自由回答では、「保護者に大きな金銭的負担のかかる修学旅行」(小学校教諭・40代女性)、「運動会の規模縮小。これに使われる時間数は尋常ではない」(小学校教諭・30代男性)といった声のほか、「儀式的行事に来賓をぞろぞろ呼ぶこと」(特別支援学校管理職・50代女性)といった来賓に関する声があった。

さらに「PTA行事の精選(教育活動への参画はしてほしい。教員に負荷をかけるものは削減」(小学校管理職・50代女性)など、PTA行事による負担の軽減を求める声も複数あった。

今こそ変えたい慣習に「部活」「対面主義」

「今こそ変えるべきだ、と思う学校や教育行政の前例や慣習はあるか」という問いに対しては、さまざまな意見が寄せられた。とりわけ多く見られたのが部活動に関することで、「まずは部活動を完全に学校業務からなくすこと、全てを社会体育(民間)へ移行すべき」(中学校管理職・50代男性)、「小学校の部活動。他校との陸上大会、音楽会、球技大会をなくしたい」(小学校教諭・50代女性)といった声があった。

また「主に教科指導に関することでは、新しい生活様式の中でさまざまな取り組みをし、これだけ大きく変容しているのに、部活動に関してはほとんどその変化が見られない。部活動という自主活動の冠をつけると、途端に全てが許されてしまう今の状態に危機感を覚える」(教育行政職・40代男性)と訴える声や、「指導させるなら、その分の給料をもらいたい」(中学校教諭・40代女性)という切実な声もあった。

また、教育のデジタル化に関する回答も多く寄せられた。「厳しすぎる個人情報管理。対面指導こそがベストとする考え方からくるシステム。終礼や朝連絡はオンラインでいい。しかも非同期で」(高校教諭・30代男性)、「保護者からの連絡が連絡帳か電話のみ。ICT機器を活用してほしい」(小学校教諭・40代男性)。

他にも、「なんでも紙で回収を、オンラインで回答してもらうのを主流にする。課題もオンラインでやる」(中学校教諭・40代男性)といった回答のほか、教育委員会の関係者からは「教員免許状の認定講習や教育課程の伝達講習はオンライン化するとよい」(教育行政職・40代)という声もあった。

コロナ禍が変革の契機になると前向きに捉える教員もいた。「このコロナ禍は、学校の無駄を見直し、改革するチャンスだと思う。特に小学校の長時間の部活、地区の体育大会など、これを機にやめることができるのではないか」(小学校教諭・50代女性)、「運動会や文化祭などにかける練習時間は結構多い。今年はコロナの影響で規模を縮小(種目や競技時間を短縮)して行ったが、それでも満足できるものだった」(小学校教諭・40代男性)。

ある小学校教諭の40代男性は、こう記した。「学校が全てをつかさどり、請け負うという従来の責任論を見直すべき時ではないか。公立学校での現場引き受け体制の限界に達しているところに、コロナが流入したことで、教育規模縮小が打ち出せる状況となった。国の方針決定から一方的な通達で責任を負わされるとともに、家庭や地域から求められるあまりの過剰なサービス提供に、現場はつぶれそうになっていたと感じる。従来までの教育の水準を落としてよいとは全く思わないが、そのためには家庭の全面的な協力が必要であり、子供の管理責任を伴うことを、学校と家庭・地域がお互いに共有し、(それぞれの責任が及ぶ範囲の)線引きが必要だといえる。ICTを活用し、お互いの負担の軽減を実現していくことで可能になると思う」。

オンライン授業への自信は二極化
対面授業が可能になった現在は、休校中より活用率が下がっている

2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校では、子供たちの学びの保障が大きな課題となった。今回の読者アンケートで、休校中に同時双方向型オンライン授業を活用した(かなり活用した+少し活用した)割合は33.8%、独自の授業動画のオンデマンド配信を活用した割合(同)は47.8%だった=図2=。

ただ一斉休校が終わった現在では、従来の対面授業が可能になったこともあり、同時双方向型オンライン授業の活用割合は27.4%、独自の授業動画のオンデマンド配信は26.7%にそれぞれ低下している=同=。オンライン授業では、休校中に活用した(同)と答えた人の4割近くが、現在は全く活用していないといい、休校中に全く活用しなかった人では9割が依然として、全く活用していないと答えている。

オンライン授業への準備状況や自信は二極化している

今後も、新型コロナウイルスの感染の再拡大やクラスターの発生などで、再び臨時休校を余儀なくされる可能性はある。「再び休校になった場合、オンライン授業に対応できると思うか」を尋ねたところ、「十分にできると思う」「まあできると思う」と回答した人の割合はちょうど半数程度だった=図3=。

「できる」と回答した人は「iPadも1人1台あり、生徒も保護者も教員も対応できている。今も1週間休校しており、ZOOM授業をしている」(高校教諭・40代女性)、「教育委員会が規制をゆるめ体制を整えてくれたこと、ICT支援員の勤務日数が増えたこと、校内の情報教育担当者を中心に研修と実践を重ね、教職員全体のICTリテラシーが高まったことから」(小学校管理職・50代女性)などの理由を挙げた。昨春の一斉休校時に活用した経験が役立っているという回答も複数見られた。

また「テクニカルな面では可能だと考えるが、従来の授業の代替と考えている教員もいるのが問題だと思う。オンラインを前提にした新しいカリキュラムや授業法を採用して進めることが必要であろう」(中学校管理職・50代男性)という指摘も。

一方で「できないと思う」と回答した人からは、端末やネットワークなどハード面の環境の未整備や、操作のスキルを含めた教員・児童生徒の準備不足を挙げる声が目立った。

「オンライン授業を活用できる知識や技能をもった教員がほとんどおらず、管理職もできるだけ労力をかけずに授業を行う方向に考える傾向にある」(小学校教諭・女性30代)、「オンライン授業に対応してしまえば、できない先生が目立ってしまい、それがクレームにつながる可能性がある。だったら一律やらないという選択を取るのが公立校の文化」(小学校教諭・40代男性)。

一斉休校をうけ、GIGAスクール構想による1人1台端末の整備は大幅な前倒しが決まった。文科省の集計によれば、年度内に多くの自治体で納品を完了する予定で、来年度からは1人1台環境での学習活動ができるようになるケースが多いという。

1人1台環境が実現した後に取り組んでみたいことや、すでに実現している場合に取り組んでいることを尋ねたところ、授業改善だけでなくテストや家庭学習、提出物管理、保護者との連絡など、さまざまな意見が挙がった。

「対面×オンラインのハイブリット授業。いかに教員が話すことなく、生徒だけで授業を進められるかが新時代の授業スタイルだと思われる」(高校教諭・30代男性)、「一人一人の考えの共有が効率よくできるようにしたい。また、学習の記録をデータで保存し、指導と評価に効率的に生かせるようにしたい」(小学校教諭・40代男性)。

すでに実現しているケースでは「休校時におけるオンライン授業やオンラインHR、懇談、会議などで活用した。休校でない時は、感染防止対策としてオンライン会議や研修に活用、一部の補講や欠席者への配慮などに活用している」(中高一貫校管理職・50代男性)、「小2算数では、身の回りの九九や三角形や四角形を見つけて,校内SNSのタイムラインに投稿している。家庭からの投稿を見ていると、児童の多様な面を知ることができるようになった」(小学校教諭・40代男性)という声があった。

アンケート概要

本アンケートは20年12月2日(水)~10日(木)、教育新聞の定期購読者のうち登録時の属性が教諭・学校管理職・教育行政職である人を対象に、ウェブ上の質問紙(Googleフォーム)のURLを配信する形で実施した。有効回答数は157。回答者の基本属性は次の通り。

  • 【学校種】小学校43.3%、中学校17.8%、高校26.8%、特別支援学校3.8%、行政(教育委員会など)6.4%、その他1.9%
  • 【職位】教諭66.9%、学校管理職24.2%、教育行政職6.4%、その他2.4%
  • 【勤務先所在地】北海道3.8%、東北13.4%、北関東3.2%、東京都内18.5%、南関東14.6%、甲信越2.5%、北陸2.5%、東海15.3%、近畿12.1%、中国3.8%、四国1.3%、九州・沖縄8.3%、その他0.6%
  • 【性別】男性54.1%、女性43.9%、その他・答えたくない1.9%
  • 【年代】20代3.8%、30代21.7%、40代38.2%、50代31.8%、60歳以上4.5%

(秦さわみ)


関連