【モンゴル編】 教員たちと学校の1日

おしゃれな教員たち

 あなたは、海外での教員の1日を想像したことがあるだろうか。この記事を読んで、もし自分がモンゴルの小学部の教員だったらと想像し、楽しんでいただければ幸いだ。

同僚の教師たちと撮影

 まず、モンゴルの学校は毎朝7時半ごろに門が開く。日直の教員が鍵を開け、玄関でみんなを出迎える。朝食はほとんど食べないそうだが、見ているとお腹が空いたときにはかばんからお菓子を出して口に入れている。

 日本と違い、モンゴルでは教員とその子どもが同じ学校に通うことができる。しかし担任することはできない。教員は9割以上が女性だ。これは、男性は伝統的に牧畜を仕事にできるが、女性はできないので学歴を付けさせようとした社会的背景が影響している。

 いつも教員たちは、きれいに磨かれた靴、襟付きのシャツやワンピースといった姿で働いている。日本に比べファッションの自由度が高いが、むしろそうしたおしゃれも身だしなみの一つと捉えられているので、気が抜けない。一方、子どもたちは、水色のシャツに紺色のスカートかズボンという制服を着ている。朝のあいさつをしつつ、教員同士の楽しいおしゃべりで1日がスタートする。

 「あら、髪色を変えたの? おしゃれね!」

 「明日の行事の準備で忙しいから、今日の理科の授業は延期ね。講堂の飾り付けを9年生にさせましょう」

小・中・高一貫教育

 子どもたちは、玄関で学級ごとに整列する。担任が日直の教員に出席人数を報告し、教室の鍵を受け取る。教室に入ると、学級長が宿題を集める。

 モンゴルは小・中・高一貫教育で、1年生から12年生(6歳から18歳)までが同じ校舎を使用する。子どもの数も多いので、2部制、3部制をとっている。つまり午前中に40分授業を6コマ、子どもたちが入れ替わって、午後からも6コマの授業がある。午前の部は朝8時から始まる。ジリリリという始業のベルが鳴ると、学級長が号令をかけて全員立ち上がり、元気よくあいさつする。

 「タ―サェンバェノー(先生、お元気ですか)」という児童生徒のあいさつに、「サェンバェン(元気です。結構です)」と教員が言うのが着席の合図だ。どの教室もガラガラといすを引いて座るので、教頭は時々その音を聞いて、「あ、あのクラスはやっと始まったわね」などと中の様子をうかがっている。

 時間割に朝の会の時間はなく、授業内に担任から行事の連絡事項を伝えたり、配付物を配ったりする。基本的に学級担任制で、小学校5年間は同じ担任が持ち上がる。体育、芸術、外国語は教科担任が教えている。

 前半の4時間が終わると、さあ、お待ちかねの給食だ。みんな並んで手を洗い、校内の食堂から食缶を運ぶ。低学年は担任が、中学年からは係の子が、みんなの持参した食器に盛り付けていく。メニューは日替わりで、ジュースと大きなクッキー、焼うどんとミルクティーなどの2品だ。

給食はみんなで一緒に食べる

 みんなでそろって感謝の言葉を述べてから食べ始める。早く食べ終わった子はお代わりができるが、給食の時間はたった15分間。担任は、子どもたちの食べる様子を見て急がせたり、時には次の授業開始を遅らせたりする。

 終業後には、担任が宿題を出す。連絡帳のようなものはなく、低学年は教室のドアにメモを貼り、子どもを迎えに来た保護者がそれを確認して帰る。担任はSNSを使って、今日の宿題や連絡事項をお知らせしていることもある。

 午後からは、別の学級が使うので、子どもたちが当番制で掃除をする。廊下や玄関は校務員が清掃する。

 教員は昼食をとりに家に帰ったり、買い物に出掛けたり、職員室で他の教員と話したりしている。職員室といっても自分の机があるわけではない。共有の机といすがあり、そこで指導の相談をしたり、日ごろの愚痴をこぼしたりしている。

 一方、学習内容に遅れがある子や理解が不十分な子、宿題をいつも忘れてくる子の個別指導も行う。年度末に学力テストがあり、そこで子どもたちの点数が悪いと落第させなくてはならないし、それで教員の指導力も問われるからだ。

 いつも廊下に置かれている机で、教員と3~4人の生徒がノートを広げている。また踊りや歌、楽器の演奏において成績が優秀な子は、次の行事に向けて教科担任から個別指導がある。行事やコンクールでは、決まってこうした子どもたちが学校代表として演奏や踊りを披露するのだ。

励みはお祝い事

 日々繰り返しのようで、春は砂嵐が来たり家畜の出産期があったり、夏は年度末、年度初め、秋は冬支度、冬は極寒だ。教員たちは、次のお祝い事を楽しみにしながら、毎日の仕事に励んでいる。

 「次の女性の日には、新しいドレスを仕立てようか。お祝いには誰を呼んで、どんなごちそうを用意しようかしら」

 そうして頑張った1日の終わりは、家族と家でゆっくりご飯を食べて過ごす。

(佐藤恵理子=さとう・えりこ 岐阜県で小学校教員として勤務後、JICA海外協力隊としてモンゴルに赴任。コロナ禍により帰国)

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