海外留学促進でセミナー グローバル人材をどう育成するか

多くの学校関係者が留学について学びを深めた
多くの学校関係者が留学について学びを深めた

タフに生き抜く力と発信力が重要

海外留学の現状や今後のグローバル人材育成、指導の在り方を考える海外留学促進セミナー(教育新聞主催、ISS(株)国際交流センター共催)が3月19日、東京都中野区の中野サンプラザで開かれた。テーマは「グローバル人材の育成にどう対応するか」。吉澤菜穂美文科省初中局国際教育課専門職は「トビタテ! 留学JAPAN」の学習状況をはじめとした高校生の海外留学最新情報を報告(役職は開催当日)。学校現場からは、渡邊武一郎日本大学三島高校・中学校校長が、自校の複数のグローバル教育事例を説明。中山力洋ISS(株)国際交流センター東京支店長は海外研修の最新動向とグローバル人材に求められる能力にふれた。(中央写真の3人は登壇順)

■高校生の海外留学が増加

吉澤専門職の説明によれば、平成25年度調査では、高校生の海外修学旅行者数は約17万人で、23年度調査に比べて約1割増。高校生の海外留学は、3カ月以上が約4千人で、23年度調査比で約2割増、3カ月未満が約4万人で、同調査比で約3割増となっているとした。

高校生の留学意識調査では、留学したいとの回答が43.7%。留学でやりたいことでは「語学力向上」「外国人の友人をつくる」などとする。留学を希望しない理由では「言葉のカベ」「経済的に厳しい」をあげる。

高校生の海外留学訪問先では、期間3カ月以上の上位がアメリカ、ニュージーランド、カナダ。3カ月未満では、アメリカ、オーストラリア、イギリスが上位にくる。

こうした状況を踏まえた上で、目指すグローバル人材は、国際機関で活躍するような少数の人の育成ではない。どんな分野でも、タフに生き抜く力をもった人材だと指摘する。

2020年までに日本人留学生を高校生で6万人、大学生で12万人と倍増への目標を掲げる。

「トビタテ! 留学JAPAN」は、官民共働で進める留学促進事業。民間企業からの寄付金で運営し、プログラムを通じて、▽グローバルリーダーの育成▽留学中、日本の良さを大使として発信▽留学生増加の伝道師に――を目標に掲げる。

高校生コース第2期生の応募者は1750人。全国的に高校生の留学希望者は多いと指摘する。アフリカや中南米への希望者が増加し、派遣国は多様。活動分野も多岐にわたるとした。阿波踊りの指導など、日本文化の伝達や各自の得意分野を生かした支援活動も行われているという。

1期生の体験アンケート結果では、「また留学したいか」の問いで「したい」が「ほぼ全員」。期間は「1年以上」が最多。「『トビタテ! 留学JAPAN大学生コース』に応募したいか」では、大半が「したい」と回答。卒業後の進路として「海外の大学」を多くが希望しているとも。

学校関係者には「トビタテ! 留学JAPAN」に参加した生徒を表彰し、評価するなどの働きかけを期待したいと訴える。参加に必要な「自分で活動内容をアピールし、働きかけた」という経験はとても貴重になると強調する。

■海外から生徒を招き交流学習を充実させたい

次いで渡邊校長は、グローバル教育の実践について語った。

同校は、中高6年間を通した指導を行う。ネーティブ教員による英語指導の強化や海外で学ぶ機会の充実などを図っている。高校の国際クラスでは、全1年生が、冬からの1年間、オーストラリアの高校で語学研修するのが必修。事前準備として、夏休みは生徒にホームステイ経験などをさせる。昨年からは、複数の外国語を同時に学ぶ学習にも取り組んでいるという。

今後は、生徒が海外に赴く留学だけでなく、海外の生徒を日本に受け入れ、学ぶ機会を増やしたいと強調する。部活動の交流練習や日本文化をテーマに交流学習をするなどの可能性が考えられるとする。生徒が日本を知り、海外に伝え、発信する取り組みも充実したいとも語る。

グローバル人材育成に向けた学びでは、キャリア教育の視点が欠けていると感じているとした。英語の語学指導だけに目が向きすぎとの課題を指摘。生徒の海外留学と海外からの受け入れ体制などを考慮すると、2学期制は有効とした。

同時に、〝グローバル教員〟の育成にも力を入れたいとする。教員の教室での英語指導力と海外の人々との交流力を高め、異なる学習視点から、幅のある指導力の育成を海外教員との連携や研修などで実現したいとの目標も掲げた。

■海外に向けて発信する力が根底に

中山支店長は、海外研修の動向やグローバル教育の実践事例を話した。

海外研修や留学の動向では、フィリピン、ニュージーランドが増加。オーストラリア、カナダの人気が高いとする。期間は3カ月未満の短期留学が多く、留学先の上位はカナダ、アメリカ、オーストラリア。日本人留学生は、全体的に基礎英語力が不足している。そのため語学研修が多いとの課題を示す。

企業が海外研修経験者に期待するトップ3は、1位に語学力、2位がバイタリティー、3位が行動力。だが、単に英語ができる人材ではなく、企業理念をしっかりと海外に向けて説明できるなどの発信力のある人材が求められると、社会が求める視点を示した。

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