文化・学習情報を発信 三重県立津高校の学校図書館

世界凧博物館長による文化講演会
世界凧博物館長による文化講演会

多様な調べ学習資料や講演会

本校(三重県立津高校)は明治13年(1880)に創立された、県下で最も古い県立高校である。「高い知性と教養を持ったリーダーの育成」というビジョンを掲げ、すべての教育活動をキャリア教育と捉えている。

こうした考えに沿って、学校図書館を文化情報センターとして位置づけ、文化・学習の情報収集と情報発信に努めている。

(1)文化・学習の情報収集

本校は、家庭科や情報科などの教科だけでなく、総合的な学習の時間、人権学習、SSH、進路学習など、学校図書館で調べ学習をする機会が多いため、個々の生徒のニーズに応えられるように、さまざまなテーマの本や資料を集めている。人権や地域医療に関する新聞記事の切り抜きは、クラスや医学科進学希望者の討論でそれぞれ利用されている。

また遠足や修学旅行に向けて、行き先についての関連図書を展示し、自由行動を計画できるようにパンフレットを取り寄せている。クラブ活動では、生徒が自分たちで練習メニューを考えることができるように、指導書を取り揃えている。SSHでは、1年生全員が班ごとに自由に興味関心に応じて調べ学習をするため、多種多様の資料が必要となる。自然科学系のものはいうまでもなく、「三重の方言」「若者言葉について」「インド哲学と日本文化」「三重県の魅力を活かした地方創生案」「崩し字解読」「バドミントン部に勝つには」など、生徒の要望に応えられるかどうかは、学校図書館の腕にかかっているともいえる。もちろん、大学入試の小論文対策として読んでおくべき本のコーナーもある。

ほかに、生徒からの情報収集として有効なものに「返却期限票」の感想欄がある。生徒はこまめにこの欄に記入するので、館内の掲示板で紹介したり、選書の参考にしたりしている。年度末には、図書委員による「おすすめ本紹介」を図書館だよりに掲載している。

(2)情報発信

本校の学校図書館の大きな特徴の1つに、63平方メートルあるギャラリーがある。年間5回を目標に、家庭・書道・美術の授業での作品展や文化講演会を行っている。文化講演会は、世界に羽ばたいてほしいという願いから国際的な視点を加味して講演を依頼している。今までの講師として、登山家、青年海外協力隊員、ピースボート参加者、アフリカ史研究者、三重県立博物館長、世界凧博物館長などを招き、昨年度は、本校の元美術教員による「フランス旅絵日記」を開催した。

また読書週間行事として、従来は生徒や教員による朗読会を行っていたが、2年前の「銀河鉄道の夜」の朗読劇が好評で、昨年度は演劇同好会による夏目漱石著「琴のそら音」を上演した。同じく2年前から、図書委員を中心に校内ビブリオバトル大会も始まり、昨年度は県内大会の地区予選会をギャラリーで開催した。

文化祭では、恒例となっているしおり作成や古本市のほかに、昨年度は折り紙による竹取物語絵巻を作成し、展示した。

(3)課題

毎年「本年度努力目標」に、目標とする年間貸出冊数を掲げているが、残念ながら達成できていないだけでなく、徐々に貸出冊数が減少の傾向にある。また本を借りる生徒の数も年々減少してきている。

この背景としては、学習や部活動で忙しい、そして特に最近は、スマートフォンを使用する時間が増加しており、なかなか読書に時間が回ってこないという点が考えられる。その上、調べ学習でも、本を読むよりもインターネット検索に頼って「活字」を敬遠する傾向も見られる。

従来、学校図書館の活動指標として「貸出冊数」の多寡が目安になっているきらいがあるようだが、この数字だけでは「図書館の」努力目標になってしまい、「学校全体の」問題にはならないのではないだろうか。

全国学校図書館協議会が毎年実施している「学校読書調査」のように「不読率」を調査したり、読書をしない理由をつきとめ、学校全体でその情報を共有し、どうしたら生徒が読書に向かうかという問題に、一丸となって取り組む必要がある。

(文責・平賀美津雄教諭)

同校=〒514-0042三重県津市新町3―1―1/℡059(228)0256。

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