【連載】スクールカウンセラーひと口アドバイス

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
臨床心理士 小見 祐子

生徒にイライラしてしまう
「べき思考」を改める


中学校1年生の担任です。しっかりした中学生になってほしくて生徒を厳しく指導していますが、なかなか言うことを聞かない生徒がいて、イライラしてしまいます。どうしたらよいでしょうか?


まず、イライラや怒りなどのネガティブな感情をコントロールできないまま「厳しい指導」という行為を行っていないか、感情が表に出て「指導」が生徒にとって脅威に感じられる行為になっていないか、チェックしてください。指導と「感情的に怒鳴ること」とは異なります。

 ネガティブ感情を表に出して「厳しい指導」をしてしまうと、感情を生徒にぶつけてしまうことになり、生徒はおびえるだけで指導の効き目はありません。むしろ、生徒にとってネガティブ感情表出のモデルとなってしまい、教師が生徒の感情の爆発を引き起こす「負の連鎖」に陥ってしまうおそれもあります。

 感情的な指導はこのように、生徒に深刻な悪影響を与えてしまいかねません。

 そのため、ネガティブ感情が指導という形を借りて表に出ないよう、自分の感情を常に点検することが大切です。

 さらに掘り下げると、「中学生はこうあるべきだ」という極端な思考パターンになっていないかというチェックも必要です。何かをしようとするときに「○○すべき」「○○すべきでない」と考えると、できなかった場合に暗い気分になってしまいます。さらに、他人に対して「べき思考」を向けると、思い通りにならなかった場合に、怒りやイライラなどのネガティブな感情が生まれてしまいがちです。これだけでもストレス状態に陥りやすくなってしまいます。

 もちろん「べき思考」がすべて悪いわけではありません。法律などでルールが決められているときなど当然の場合もあります。でも、概して「べき思考」の範囲は多くなりがちです。そこで、「○○すべき」を「○○にこしたことはない」という言葉に変えてみてはいかがでしょうか? こうすれば、思い通りにならなくても、ネガティブ感情は生じにくくなります。


【臨床心理士がひと口アドバイス】
 臨床心理士の小見祐子さんによる連載「スクールカウンセラーのひと口アドバイス」がスタートします(月1回、当紙面に掲載)。教職員とは異なる視点から、学校現場にアドバイスを送ってもらいます。