【連載】校長のパフォーマンス

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
教育創造研究センター所長 髙階 玲治

講話がうまくいくオマジナイ

 校長にとって最も気になることの1つは、毎週月曜日に行う全校児童(生徒)への講話である。何を話すか、ネタが浮かばず、サタデーシンドロームになる校長も多いという。そのための種本も売れている。

 そのような校長の悩み解消に「カンカラコモデケア」という呪文を唱えたら、と考える。

 実は、入社試験で学生が最も手こずるのは作文、また差がつくのも作文というので、昔『カンカラ作文術』なる本があった。毎日新聞社の山崎宗次局長が作文術指導の私塾を開いた、そのエッセンスがカンカラコモデケアである。私も時々唱えている。

 入社試験の作文は短い。その範囲で読む相手に自分の思いを率直に伝える必要がある。そのためテクニックが求められる。私塾は20年続いたが、毎年多くの合格者を出したという。残念ながら山崎氏はこの図書を出版して間もなく亡くなった。

 そのオマジナイの正体は何か。

 カン=感動
 カラ=カラフル(多様性や豊かさも含む)
 コ=今日性
 モ=物語性(問題性)
 デ=データ
 ケ=決意
 ア=明るさ(愛、アイデアなど)

 括弧内は私見であるが、このような視点を作文に要求する。すると、作文は見違えるように変わる。

 講話も同様である。話し方にもカンカラが必要である。例えば、カン=何よりも講話の基底には感動が必要である。話す内容がおもしろい、という話者の意気込みがほしい。また、カラ=起承転結に妙があり、テクニックが必要とされる。聞く側が納得、という思いが必要である。つまり、次の視点がほしい。

 カン=話に感動があったか
 カラ=話の内容が多彩で動きがあったか
 コ=子どもの今日的な感覚に合っていたか
 モ=物語や問題への視点があったか
 デ=説得力のあるデータが提示できたか
 ケ=今日はこの話をという決意があったか
 ア=話に明るさがあり、余韻が残ったか

 講話は印象が残ることが大切で、パワーポイントなども有効に使いたい。

 毎回、新たに講話を創作することは難しいから、「講話例集」など参考にすることも多いであろうが、そうした例話をカンカラ術で作り直してみる。すると自校の子どもにフィットする面白い内容に再生できる。

 実のところ、カンカラ術を授業でやっては、と紹介することがある。授業参観する場合も、この視点からみると違った姿が見えてくる。この図書のカバーに日下公人氏が「作文だけでなく、話し方も生き方もカンカラでよいと思っている」と書いていた。同感である。