【連載】 通常学級での特別支援 子どもの理解と効果的な支援法 第1回

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
さいたま市教育相談センター所長 金子 保

■3+4が暗算でできない子と前体験
 3+4の計算が小学1年生の1学期に教えられるが、この計算を暗算で行うことが課題だ。暗算でできない子どももいることがわかり、この子たちは右手に指3本を示し、左手に指4本を出して、これらを駆使して数えて答えを出すことで計算している。

 しかし、この暗算ができないことは、この数字を思い浮かべることができないのであって、思い浮かべる能力を育てる学習体験によって、育成されることがわかった。これを新しい学習を支える「前経験」として考えてみた。これが前回に述べた積み重ね学習の事例である。  3+4の暗算力を育てる前経験を実践研究してみると、ペットボトルを用いたボーリング遊びやトランプじゃんけんが有効であることがわかった。

実際に小学校1年生の子どもに実施してみると、この遊びを実施した後では、明らかに数を思い浮かべての暗算ができており、暗算の方法の質問から3と4を思い浮かべて、これを数えて計算する能力が育っていることがわかった。

■前体験の欠落で次の学習が成立しないと学習障害
 学業不振とか学習不適応の研究の多くは、同じ学習内容を練習したり、指導を充実させることで目標を達成できていた。積み重ね学習の場合は、前体験を学習していく必要がある。3+4が暗算でできる子どもは、4+5も6+7も数を思い浮かべての計算ができ、学力を定着させる学習は練習させることで解決することがわかった。

 学習障害で考えられる項目別の能力差は大変に大きく、文字は読み、書けるのに、数は計算どころではなく、2や3の理解もはっきりしないとか、推論する能力が著しく劣る子どももいる。
 これらの前体験は、幼児期の知性を育てる遊びであることが多く、小学校の教師には思いつかないものであることもわかった。