【連載】授業で生かすファシリテーション

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
埼玉県狭山市立入間野小学校教諭 岩瀬直樹

信頼ベースで力を出し合う

 「このクラスってみんな仲が良くていいよね。一人ひとり違うんだけど、それがおもしろい。毎日学校来るの超楽しい!私、最近勉強すごいがんばっていて、自分でも力ついたなあって思う。分からないところは友達が助けてくれるんだ」

 私のクラスのAさんの言葉です。こんな言葉が日常的に聞こえてくるクラス。その秘訣は「学級ファシリテーション」なのです。

 最近、教育現場でもファシリテーションという言葉を聞くことが増えてきましたが、みなさんは「学級ファシリテーション」とはどんなものだと思いますか。

 私は「信頼ベースの学級ファシリテーション」を2011年から、ちょんせいこさん(人まちファシリテーション工房代表)と提案しています。信頼ベースの学級ファシリテーションとは、先生と子どもたちがファシリテーターになることで、教室に豊かな言語活動を育み、互いにエンパワーしあい、自分やクラスの成長を信頼できる。そんな学級経営や授業の進め方です。

 正式な定義は以下のようになります。ちょっと長いですが、大事なところなので引用します。

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 信頼ベースのクラスとは、先生(ファシリテーター)からのエンパワーで安心を感じ、満たされ始めた子どもたちが、その姿をモデルにしながら、互いにエンパワーし始め、豊かな言語活動をベースに遊びや学びを通じて、無邪気に笑い、泣き、学び合い、高め合い、つながり合いながら、小さな成功体験や達成感を積み重ねる中で、子どもや先生が本来、自分がもつ力に気づき、自分やクラスがまだまだ伸びていくこと、成長することを実感し、信頼することができる。強みを生かし、弱みを克服しながら、厳しい環境や困難があったとしても、学びのサイクルの中で、それらを乗り越える方法を体験的に学び、これからの毎日にポジティブな予測を持つことができる。やがて自分とクラスの成長がグン!と加速していく。自立的に協調しながら、友達や社会とのつながりや可能性を実感する。そんな幸せな子ども時代を過ごせるクラスです。(『よくわかる学級ファシリテーション(3)授業編』から)

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 先生がファシリテーターになる。それは子どもたち一人ひとりの「心の体力」を温め、力を引き出し、共有しながら共にゴールを目指す進行役になること。大切なのは、人には力があると信じることです。子どもたちにも、そして私たち先生にも力がある。だから先生だけががんばるのではありません。両者が力を発揮しあいながら共に幸せなクラスをつくっていきます。そのための技術が「ファシリテーション」です。

 技術ですから、練習すればするほど上手になっていきます。最初はなかなかうまくいかなくても、試しているうちに子どもたちの姿から「ストン」と分かるときがきます。学級経営が難しくなったといわれる今だからこそ、学びたい技術です。

 次回からは、具体的な方法について書いていきます。

 プロフィール

 岩瀬直樹(いわせ・なおき)教諭 ファシリテーター、「信頼ベースプロジェクト」代表。EFC(Education Future Center)理事。著書に『よくわかる学級ファシリテーション(1)、(2)、(3)』『同テキスト』(解放出版社)、『「最高のチーム」になる! クラスづくりの極意』(農文協)、『効果10倍の学びの技法』(PHP新書、共著)など。