【連載】個性を育むキャリアデザイン教育

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
(一社)就業力支援メンタリング理事 寺田浩章

大学進学率高、離職率低の秘訣

◇―圧倒的な違いを生み出していた―◇

 平成24年10月、四国地方の高校の教頭が集う会合で、その報告は行われた。

「『しこんプロジェクト』で進めるオンリーワン高商生」と題して報告したのは、香川県立高松商業高校(高商)の三好信治教頭である。

 同校は、1900年の創立以来、「部活の高商」「就職も進学もできる高商」と評価され、卒業生約3万4千人を社会に送り出してきた伝統校である。目下取り組んでいるのは、生徒の個性を尊重し、一人ひとりが生き生きと活動できるように支援していくこと。

 特筆すべきは、大学進学率の高さと、就職した場合の早期離職率の圧倒的な低さだ。

 商業系高校の現役大学進学率は、平成22年度で21.1%とされているが、同校ではこれが例年80%以上の比率で推移している。

 また厚労省が公表した若年雇用関連データによれば、平成21年3月高校卒業後、3年以内に離職する割合は全国平均で35.7%であるが、同校を卒業し就職を選択した生徒では、3年後の離職率が5.0~6.4%で推移している。

 何が、この圧倒的な違いを生む要因となるのか。同校が推進する『しこんプロジェクト』を通して探ってみた。

◇―外部の力を積極活用してプロジェクトを推進―◇

 同校が22年度から展開している「しこんプロジェクト」には、「天職の探求」というサブタイトルが付けられており、次の3項目を目標に掲げている。

 (1)高商生としての自覚を持ち、伝統の継承と創造に努める。
 (2)高校生としての自覚を持ち、自己探求と自己実現に努める。
 (3)専門的な学習を深めて天職を探求し、社会への貢献に努める。

 これらの目標によって、伝統を重んじながらも生徒の個性を大切にし、専門的な力を育みながら社会との関係性を築いていくことを目指している。

 プロジェクトの具体的な取り組み項目に目を転じると、卒業生による講演を年に2度開催したり、外部講師を招いて「キャリアデザイン講習会」を毎年開催したりするなど、外部の力を積極的に活用していることが分かる。

 中でも、8年間継続開催されている「キャリアデザイン講習会」に、他校からも関心が集まった。

 この取り組みにスポットを当てていく。