【連載】スーパーティーチャー育成講座 東京都台東区教委の取り組み

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。

科学的思考できる子に 実験・観察の技能など通年で

 東京都台東区教委は今年度から、幼保から中学校までの教諭・保育士を対象にしたスーパーティーチャー育成講座を実施している。理科指導(実験)推進コースでは、理科好きな子どもを育むための指導の在り方や実験などでの安全面に関わる事項と指導方法、指導者が身につけなければならない実験・観察の技能などについて、年間を通して学んできた。藤井千惠子国士舘大学体育学部こどもスポーツ教育学科教授が指導に当たった。

 通年7回の講座では、講義や実験実技講習をはさみながら、個人のテーマに基づいた日常の取り組みを進めた。研究生代表による授業研究、受講生全員が保育・授業の実践をして互いの実践を見合う活動も実施された。

 幼・保・こども園では、保育園5歳児を対象に「疑問に思ったこと、感じたことを調べたり、考えたりできる子を育む」活動を実践した。子どもたちは空気砲から出る空気の流れを、垂らしたビニールに当てたり、幼児一人ひとりの顔に当てたりして肌でその流れを実感した。空気の流れをドライアイスを用いて可視化し、目でも確認した。

 「身近な自然物に興味をもち、それらを使って表現することのおもしろさを楽しめる子どもを育む」実践では、保育者側から子どもたちに、葉を見せながら葉脈や色・形・大きさ・においの違いを気づかせる問いかけをしておいた。拾ってきた葉っぱに絵の具をつけて画用紙などに葉っぱの判を押す活動で、葉っぱの特徴を実感させるようにした。

 小学校5年生の「ふりこのきまり」では、仮説から実験・観察へ、その結果から考察するといった一連の流れの中で、問題解決のための科学的な思考を育成するようにした。実験結果は一斉に実施しても違いが見られることから、結果の交流を通して結果から考察へとクラス全員を巻き込む工夫もした。

 同じく5年生の「物のとけ方」では、実験・観察方法を児童に考えさせることで、科学的な見方・考え方ができるようにした。実験内容と課題との関係について、実験内容が課題解決に適切な方法であるかをテーマに、自らの実験方法について発表できるように工夫した。

 中学校3年生の「運動とエネルギー」では、話し合いや発表の機会を設け、自分の考え方をまとめさせたりした。同じく3年生の「地球の運動と天体の動き」では、実際の観察・実などが困難な学習の場合に、天体の動きなどを実物投影機やプロジェクターで表示して理解を深めた。
 指導者は、理科の楽しさの本質を知ることで理科離れを防ぐことができるとの教えを受けた。

 このほか、保育園では蚕の飼育や風車づくり、家庭からもってきた魚や植物の観察・えさやりをした。幼稚園では、サツマイモの蔓を使ったクリスマスリースづくりや、新宿御苑への遠足でリースづくりに使えるドングリ集めをした。子どもが自分から飾り付けを考え、使えそうな物を提案する関わりが増えていった。

 小学校では、動植物にふれあう機会を増やしたり、生活環境での自然観察をする機会を増やしたりした。4年生ではヘチマなどのほか、学校に生えている雑草の観察、においなど五感を使っての観察に心がけた。ワークシートをグループごとに作成・交流した。

 中学生は、発表などを通して考える力を育成する授業にするため、「コインをそのまま下に落下するものと、プラスチックのバネで押し出されてから放物線を描いて落下するものは同時に落下するのか」について、予想を立てて考えさせたりした。
 講座に参加した教員らは、学んだことを日々の実践に生かしながら、自らの学びを深めていったという。