【連載】私のわくわく授業提案

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
北海道旭川市立愛宕東小学校教諭 宇野 弘恵

初めての出合いで心を引く布石を

 4月です。新しい学年、新しい教室、新しい友達、新しい先生……。学年によっては理科や家庭科など新しい教科との出合いがあります。また同じ教科でも新しい分野との出合いもあります。特に、子どもたちにとって初めての出合いとなる教科や分野については「何だかおもしろそうだな」と思わせることが肝要です。

 6年生の社会科で、初めて歴史が教科書に登場します。5年生の時から、「先生、6年生の社会は歴史ですよね?」「早く歴史の学習がしたいです!」と訴えてくるのは、「三国志好き」やいわゆる「歴女」たち。

 反対に「人がたくさん出てきて複雑そう」「覚えることがたくさんありそうで嫌だ」と訴えてくる子たちもいます。この子たちは、実際に学んでみて嫌だと言っているのではなく、イメージだけで歴史を敬遠しています。

 感情や情動が学習効率と深く関わっているのは周知のこと。ですから、授業開きでは少しでも歴史に興味が持てるような仕掛けをするのです。

 そこで授業開きでは、「歴史上人物カード」を作成します。小学校では各年代の代表的な人物を40人程度扱います。まず、それを子どもたち一人ひとりに割り当てます。希望制にはせず、席順にランダムに割り当てるため、「やった!織田信長だ!」「うわ!ザビエル、きたー!」などの歓声が上がり、教室にはちょっとしたわくわく感が漂います。

 次に、割り当てられた人物の似顔絵や主な業績を1枚のカードに書かせます。

 ◎画用紙のサイズは20センチ×17センチくらいが書きやすく見やすい。
 ◎業績はできるだけキーワードでわかりやすく。
 ◎似顔絵は枠いっぱいに描く。色鉛筆で着色するとよりリアルな仕上がりになる。顔を目立たせるために色を塗った後に黒マジックで縁取る。
 ◎名前は遠くからでも見やすいように大きく、太字で書く。
 ◎自分の名前を忘れずに書く。

 たったこれだけの作業ですが、子どもたちは熱心に取り組みます。「織田信長」など名の知れた武将が当たった子は大喜びで行います。その子はますます織田信長に興味をもつようになり、進んで図書館から本を借りてくることもあります。

 しかし、子どもにとっては名前も顔も見たことのない人物がたくさんいます。初めは全く知らなかった人物でも、書いていくうちに親近感がわいていき、自分が割り当たった人物の名前だけは絶対に忘れないようになるのです。

 出来上がったものは、年代順に教室内に掲示します。学習が進むごとにこのカードで確認したり、子どもたち自身も「あ、僕が書いた歌川広重だ」など、自分が書いた人物が授業に登場するのを楽しみにしたりするようになります。

【新連載スタート】

宇野弘恵(うの・ひろえ)教諭=教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル理事を務め、教師力アップに向けた研さんを積み重ねる。共著書に『必ず知っておきたい!若い教師のための職員室ルール』(学陽書房刊)、『とっておきの道徳授業10、11』(日本標準刊)など。