【連載】通常学級で明日から実践! 教育のユニバーサルデザインにチャレンジ

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
星槎大学准教授、授業のユニバーサルデザイン研究会湘南支部顧問 阿部 利彦

教育のユニバーサルデザインとは

 平成24年12月に文部科学省は、通常学級において何らかの特別な配慮を要する児童生徒は推定で61万人、その割合は6.5%と発表しました。

 通常学級においては、多様な学力の子どもや、典型的発達の子どもと学び方を異にする(learning differences)子どもが在籍しており、教育的ニーズの多様化がさらに顕著になってきています。

 そんな中で、発達障害のある子もない子も共に学び、共に育つ学校づくりやインクルーシブ教育システム、教育のユニバーサルデザイン(UDと略します)化などが近年注目されています。

 UDと名のついた書籍はとくにたくさん発行されていますが、著者である先生方によってUDの定義はまちまちで、どうやら教育におけるUDは統一されているわけではないようです。

 どれが正解、ということはもちろんありませんが、必ず立ち返るべきは「UDは誰のためか?」という視点でしょう。

 いわゆるUDの概念を提唱したのはロナルド(ロン)・メイスです。「障害者にとって使いやすいデザイン」を検討するバリアフリーに対し、「障害のあるなしに関わらずできるだけ多くの人が使えるデザイン」をめざすのがUDだと彼は言っています。

 また、これまでは「作る人たちの考え」に視点が置かれていましたが、UDにおいては、「使う人の立場に立って」デザインする、という発想に変わっています。

 この発想を踏まえ、授業を受ける子どもの側~学ぶ側の立場に立ち、授業や教室環境を考えていくことが教育のUDでも重要になるのです。

 教育におけるユニバーサルデザインとは、〝「より多く」の子どもたちにとって、わかりやすく、学びやすく配慮された教育のデザイン〟であると私は考えます。

 つまり、より多くの子どもたちが「ぼくにもできた、わたしにもわかった」と実感し、ワクワクしながら楽しく学べるような教育の場を作ることだと思うのです。

 私が研修や巡回相談でうかがう学校では、「教育のUD化に私たちもチャレンジしたい!」という声とともに「でもどこから始めたらいいの?」という戸惑いの声も多く耳にします。

 しかし、そんな学校の中にも「すでにUD的な取り組みが進んでいる!」と私が感激させられるような工夫をたくさん見つけ出すことができます。本連載では、皆さんの学校ですでに行われているUD化を再確認し、明日から実践していくためのポイントとともにご紹介していきます。