【連載】国際バカロレアを知るために Getting to know the IB

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
広島女学院大学客員教授(IB調査研究室長)リンデンホールスクール中高学部校長 大迫 弘和

DP(ディプロマプログラム)の誕生

 国は現在、2018年までに200校の国際バカロレア(IB)認定校を創ることを目標に、様々な取り組みを進めています。

 13年3月に文部科学省とIBO(国際バカロレア機構)が「Dual Language DP, Japan(日本語DP)」の実施に関しての合意に達し、具体的な取り組みの1年目であった13年度が終わり、今、取り組みの2年目を迎えました。

 今回のIB導入は産官学協同の形で推進されていますが、計画の実現には正にAll Japanの取り組みが必要です。『事実暗記型教育』から『探究型概念教育』への転換。そこにこの国の教育の未来がかかっています。

 本連載『国際バカロレアを知るためにGetting to knyou the IB』では、IBに関する基本的な情報(IBとはそもそもどのようなものか)と日本語DP200校計画の進捗状況(実現に向かって何が起こっているか)の2つのことを、おそらく必然的に絡み合わせながら、皆様にお伝えしていきたいと思います。

 私が初めてIBの授業を担当したのは1991年のことになります。それからもう20年以上が経っていますが、その間、IBには多くの変化がありました。

 91年当時にはまだ高校2年生、3年生を対象とする2年間プログラムであるディプロマプログラム(DP)しかありませんでした。その後、94年にDPの前段階になる5年間プログラム、ミドルイヤーズプログラム(MYP)が、97年には小学生を対象とするプライマリーイヤーズプログラム(PYP)が生まれ、この段階でIBは初等中等教育を一貫する教育プログラムになりました。

 12年には、高校卒業後に主に就職や専門学校進学を目指す生徒のための、社会に出て役立つスキルを習得する2年間プログラムであるIBCCが誕生し、IBOは現在4つのプログラムをもつ国際的教育機関として、正に知る人ぞ知る存在になっています。

 まず最初にDPが生まれたのは68年、場所はスイス・ジュネーブでした。祖国を離れて高校生活を送る高校生たちが、祖国に戻り大学を受験する際に、祖国を離れていたことによる不利益を受けないようにと考えられたものでした。

 DPを修得しているなら、その国が大学受験のための基礎資格としているもの、例えばイギリスならAレベルというものがあり、イギリスの大学を受験するためにはそれを修了していなくてはなりませんが、もしAレベルを修了していなくてもDPをやっているのならイギリスの大学受験が認められる、といった仕組みとして考案されたのがDPでした。

 そのように歩み出したDPが、今や世界2千を上回る数の大学から、DPを修了している生徒を積極的に受け入れるための体制を取っていただけるものになっています。

 「IB生徒にぜひ入学してもらいたい」。世界的に高い評価を得ているいわゆる名門大学の多くが現在そのように考えています。

 それはなぜでしょうか。次回はその理由について書いてみたいと思います。


【新連載筆者】曽山和彦(そやま・かずひこ)名城大学大学院准教授=学校心理士、ガイダンスカウンセラー、上級教育カウンセラー。学校におけるカウンセリングを考える会代表。主な著書に『教室でできる特別支援教育~子どもに学んだ「王道」ステップ・ワン・ツー・スリー』(文溪堂)など。