【連載】科学的な思考力を高める理科受業

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
新潟県小千谷市立小千谷小学校教諭 平澤林太郎

理科室探検で好奇心を高める

 私は理科室で行う観察や実験が大好きです。おそらく、子どもたちも同じでしょう。しかし、残念なことに、小学校の半数以上の先生方が「理科が苦手」だそうです。いくら理科の授業時数や指導内容を増やしても、教えている先生方が理科を苦手としていたならば、子どもたちの科学的な思考力は高められません。

 私が、まず先生方にやってほしいのは「理科室探検」です。子どもたちの科学的な思考力を高めるためには、子どもたちが自然現象や理科学習に興味・関心をもつことが第一に大切なことです。

 私は理科の授業の最初に「理科室探検」をしています。理科室や理科準備室には、不思議なものがたくさん隠されています。教科書に出てくる教材・教具はもちろん、代々その学校で受け継がれている秘密もあるかもしれません。私も現任校の小千谷小学校の理科準備室に初めて入ったときには、たくさんの発見がありました。

 「小学校なのに雲発生装置がいっぱいある!」「月の満ち欠けの分かりやすい実験器具が40個もある!」「太陽光で調理できる器具発見! おもしろそう!」など、理科室にどんな教材教具があるのか分かっているだけでも、授業に余裕が生まれます。

 次にやってほしいのは、当たり前ですが「教材研究」です。理科が苦手な先生方に理由を聞くと、ほとんどが「実験の準備が大変だから」という答えが返ってきます。確かに若い先生方の中には、「20年ぶりにこの実験をやる」というようなものがあるかもしれません。そんなときは、一人で悩まずに理科が得意な先生やベテランの先生に聞いてみましょう。

 難しいと思っていた実験が案外簡単であることに気付いたり、ワクワクする自然現象が見られたりしますよ。私は、よく校内の先生方を理科室に案内して教材教具の説明をしたり、実験や観察の相談に乗ったりしています。

 それまで理科が苦手だった先生も、「理科っておもしろいですね!」と歓声をあげられることがよくあります。「理科は苦手」と自分で決めつけるよりも、「理科っておもしろい!」と思って授業をすれば、子どもたちも目を輝かせながら自然事象に向き合うことでしょう。

 今年度、私は3年生の担任です。子どもたちが受ける人生初の理科授業は「理科準備室探検」でした。子どもたちは、「これ何ですか~?」「はじめて見るものばっかり!」「ガイコツこわーい!」と、とても興味関心を抱いて探検していました。多くの子どもたちが理科に対して、好印象をもったことでしょう。

 今後の11回の連載では、実際の理科授業をどのように進めていけば科学的思考力を高めていけるのかについて書かせていただきます。

【新連載筆者】平澤林太郎(ひらさわ・りんたろう)教諭=学び合う教室から科学的思考力の育成を目指す。2011年日本科学教育学会教育実践賞受賞。2014年日本科学教育学会年会発表賞受賞。