【連載】こだわり授業は希望の宝箱

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
有明教育芸術短期大学准教授 大貫耕一

体との対話促す「にょろ転」

 「こういうことなんですね。目からうろこが落ちるっていうのは」

 2年目教師のサヤカさんは、私をまっすぐに見ながら語ってくれました。4月2日の夜7時過ぎ、K市5小の体育館でマット運動の実技研究会が終わった直後のことです。

 サヤカさんが感激したのは、マット運動「後転」指導のために紹介した「にょろ転」。この「にょろ転」をすることで、後転ができるようになることはもちろん、「体との対話」にもつながっているために、〝体でわかる〟という実感が持てたのです。

 しかも、それまでの後転指導では「勢いよく回らせる」ことが大切だと思っていたサヤカさんにとって、「ゆっくり」と「体と対話」をしながら、後転ができてしまうことは驚きの連続でした。

 さて、読者の皆さんはなに、その「にょろ転」というのは? とか、なんで夜7時にマット実技をやっているの? と疑問を感じたのではないでしょうか。

 「にょろ転」というのは、野口三千三さんが考案した「野口体操」の一つです。図のように「力を抜いて、ゆっくり」と腰を頭の後方へ動かしていき、腰の「動きたい方向(左右)」に少しだけずらしてやることで、「にょろっと」まわってお座りの姿勢になる後ろ回りなのです。

 できれば畳かじゅうたんの上でやってみてください。にょろ転でゆっくりと力を抜いて、腰を頭の後方へ動かして少しずらすと、ほらっ、頭の上を腰が通る瞬間が分かりますよね。それが「頭越しの感覚」。後転のポイントで腰が頭の上を越える感覚なのです。

 このようにゆっくりと力を抜いて、体の感覚を研ぎ澄ますことで「体との対話」ができるようになっていきます。サヤカさんが「にょろ転」に感激したのも、この「体との対話」感覚を実感したためでした。

 あっ、もう字数がありません。残念。この続きは、次号でのお楽しみということで。

【新連載執筆者】大貫耕一(おおぬき・こういち)准教授=元東京都公立小学校教諭。学校体育研究同志会、民主教育研究所教育課程研究委員会。著書に『教師にやりがいを見出したいあなたへ』(民主教育研究所教育課程研究委員会編、ルック出版、共著)がある。