【連載】授業力アップのためにポイントと心がけ

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
京都文教大学准教授 大前暁政

学習者の主体性を引き出す

 授業で子どもの「学び」を深めるには、どうすればよいのでしょうか。それには、2つの答えがあります。

 1つは「教え方を工夫する」ことです。教え方が上手であれば、知識や技能を確実に習得させられるはずです。

 もう1つは「学習者の主体性を引き出す」ことです。学習者が自ら進んで学ぶ状態を生み出すのです。そして、一人ひとりに探究させたり、グループで発展的課題を解決させたりしていけばよいのです。そうすれば、疑問の見つけ方や疑問を解決する力が身につけられることでしょう。

 「教え方の工夫」と「学習者の主体性」。この2つがあれば鬼に金棒で、子どもは学びを深めることができるのです。

 学習者の主体性を引き出す方法として、とても簡単にできることがあります。それは「傾聴」と「承認」です。

 例えば、課題を設定する場面で考えてみましょう。教師が「どんなことを調べてみたい?」と子どもに尋ねます。ところが、子どもからあまり意見が出ないこともあるでしょう。そんなとき、教師がすぐに答えを示したり、教科書を確認させたりするかもしれません。しかし、その前に、一度、次のような対応を試してみてほしいのです。

 まず、数少ない子どもの意見に真剣に耳を傾けます。「なるほど」と、うなずきながら聴くのです。言葉足らずなところは教師が質問します。「あなたの考えていることが知りたいから質問する」といった姿勢で質問します。そして、「なるほど、そういうことか。いい考えだね」と「承認」します。この一連のやりとりを見た子どもたちは思います。「先生は本気で私たちの意見を知りたいと思っている」と。

 すると、子どもたちからは真剣に課題を考えようという意欲が出てきます。自分の意見を先生がしっかりと聴いて認めてくれるとなれば、主体的に動く気になるのです。「傾聴」と「承認」を意識するだけで子どもの主体的参加を生み出すことができるのです。

 このように、学習者の主体性を引き出すには様々な方法があります。授業では、教え方の工夫とともに子どもの主体性を引き出す方法を知ることも大切なのです。

【新連載執筆者】大前暁政(おおまえ・あきまさ)准教授/公立小学校教諭を経て、昨年4月から現職。複数の大学の教員養成課程で教育方法学や理科教育学などの教職科目を担当。文科省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員なども歴任する。著書に『プロ教師直伝!授業成功のゴールデンルール』(明治図書出版)など多数。