【連載】新しい園づくり 東京都品川区の軌跡

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
平塚すこやか園長 大澤洋美

一人ひとりが安心して生活を

 平塚すこやか園は、品川区内5番目の区立幼保一体施設として、開園2年目を迎えている。区が平成14年9月に最初の幼保一体施設二葉すこやか園を開園してから12年、就学前の子供が等しく幼児教育を受けることが可能な認定こども園や幼保一体施設が、全国にたくさん開設されてきた。

◇…幼保の違い…◇

 幼稚園は文科省のもと、幼児期の教育を行う学校として、保育所(園)は厚労省のもと、保護者に代わって保育する福祉施設として、それぞれが独自の文化を作ってきた。それらが一緒になるわけだから、さまざまな課題が生まれることは当然である。

 同園は施設一体幼保並列型に分類される幼保一体施設である。0歳から5歳までの保育園児87人と幼稚園児70人が、一つの園舎の中で生活している。特徴は4、5歳児には人数バランスが違う保育園クラス(17人)と幼稚園クラス(35人)が存在していることである。ここでは、幼児の生活時間・保育者の勤務体系・保護者のニーズなどさまざまなことが大きく異なっている。

 これらの違いを抱えながら、等しく幼児教育を受けることを目的に保育のスタイルをすべて同じに整えることは、課題が多すぎて困難である。であるならば、園に通う大人も子供も安心できる平塚すこやか園で必要とされている保育のスタイルを創っていこうと考えた。

◇…安心できることが最優先…◇

 子供の安心は大人の安心から生まれる。幼稚園も保育園も、これまでの仕事や生活が変わらないように住み分け型の生活をあえてすることにした。幼児のクラスも担任も勤務体系も、できるだけ単独の幼稚園や保育園と変わらない組織をつくり、運営を始めた。

 子供たちは生活のスタイルを変えないので、長時間保育を受ける保育園児は順次生活の状況に合わせてゆったりとした時間の中で過ごすことができる。短時間の保育を受ける幼稚園児は、大きな集団での緊張感と家庭での安心感を程よく合わせながら遊びの中で学び、興味関心を園生活の中で広げていく。教育時間と合わせることで遊びや生活を中断することもない。日々多少の戸惑いはあるが、園に通う一人ひとりが安心して生活をスタートするこができた。

◇…保育の質を高めるために…◇

 無理のない生活スタイルを生かして、保育の質を高めていくことを目指したいと考えた。

 幼稚園と保育園の生活のスタイルは違うが子供が経験することは同じにするために、保育の内容について打ち合わせることを大切にしている。毎週1回の学年の打ち合わせでは、幼稚園クラスと保育園クラスの保育者が保育内容についてじっくりと話し合う。経験年数の少ない保育者チームには、中堅やベテランの保育者が相談にのっている。保育の内容や子供の様子について語り合うことで、それぞれの考え方や経験の違いを感じながら自分なりの保育を創りだしていく様子が見られるようになってきた。

 園内研究会の保育観察では、保育環境に視点を置き、幼児が経験していることを実際に見て、知り合い、語り合うことが保育の視野を広げているように感じる。保育の語り合う機会を多くもつことが同僚性を高めて、それが保育の質につながっていくと感じている。
◇…目の前の子供に何が必要か…◇

 出発したばかりの園の取り組みなので、何が最善であるかは手探りである。だからこそ、目の前の子供に何が必要なのか生活の背景も含めて感じとること、そしてそのことに向き合い、子供にとって最善の保育と環境を創りだしていきたいと考える。

 社会の状況も幼稚園保育園に求められることも、その時々で変化していく。しかし、目の前の子供はいつも安心してすくすく大きくなりたいと思っている。

 いつでも安心して大きくなれる園づくりを新しい時代の中で目指していきたい。