【連載】子どもの放課後の居場所 学童保育の充実をめざして

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
成蹊大学講師 藤田純子

質の確保への要求が高まる

 子どもたちの放課後生活が変わってきている――。

 下校後に走り回り、跳ね回って元気に遊ぶ子どもたちの姿は、70年代を境に消えていったという。急速に進む少子化のなかで、地域で遊ぶ子どもたちの姿をほとんど見られなくなった。かつては、放課後に鬼ごっこや秘密の基地づくり、木登り、コマ回しなどで遊んでいた子どもたちは、時間が過ぎるのも忘れて、飽きるまで自分を試す行為や小さな夢を育んでその達成を目指す活動を戸外で行ってきた。このような豊かな遊びは、子どもたちの成長のために必要な経験である。

 子どもたちが成長していく上で社会化を図るさまざまな「装置」が必要で、学齢期には家庭、学校、放課後の居場所などが重要である。家庭と学校については少子化の視点からも多く議論されているが、「放課後」に関しては、等閑視されてきた感を否めない。そもそも学童保育は「小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいない場合、授業の終了後に児童福祉施設等を利用して適切な遊びおよび放課後の生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業」(児童福祉法)とされている。

 それでは、学童保育を利用している児童は、いったいどれくらいいるのだろうか。厚労省によれば、学童保育に登録している児童数は88万9205人、学童保育数は2万1482カ所(昨年5月1日現在)である。しかし、昨年度に保育所を卒所して小学校に入学した児童は約46万人であるが、そのなかで学童保育に入所した児童は約31万人である。保育所入所児童の67%しか学童保育に入所していないことになる。学童保育の利用を必要としているにもかかわらず、利用できない潜在的な待機児童は40万人に及ぶとの試算がある。保育所同様、待機児童解消を早急に図ることは課題といえよう。

 近年、このような学童保育の量的拡充だけではなく、その質の確保への要求が高まっている。2012年の児童福祉法改正に伴い、運営基準などの法制度が検討されてきている。各自治体では、今年6月あるいは9月の議会で学童保育に関する条例案が審議され、制定に至っている。条例の多くは、後に触れる厚労省令第63号「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(今年4月30日公布)のあとづけのようであるが、その省令に先行する「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」報告書(昨年12月25日作成)は、学童保育指導員の配置と資質の向上をいかに確保するかが、重要な課題であると強調している。総じて人材養成システムの構築は、学童保育の充実のためのカギと考えられる。

新連載開始
藤田純子(ふじた・じゅんこ)成蹊大学講師に、子どもの放課後問題をめぐり、学童保育の充実策の方向性を探ってもらう。子どもたちに育ちの環境を整えることは、目前にあるわが国の超高齢社会の問題解決と双璧をなす、むしろ軌を一にする、極めて重要な社会的課題である。