【連載】自然体験に行こう

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。
公益財団法人日本野鳥の会・施設支援室 横浜自然観察の森担当レンジャー
尾崎 理恵

自然体験の難しさ―正しい見方を教える

 自然体験の機会が少ない子どもたちにとって、自分たちだけで自然を観察するのはとても難しいことだ。なぜなら、どのようにすれば生きものと出会えるのかがわからないからだ。

 逆に「何を見せたらよいのかわからない」「見せても何を説明したらよいのか」という声は指導側からも聞く。

 先日、小学校4年生向けに「モリノミカタ」というプログラムを実施した。森は見方さえわかれば、自分でたくさんの種類を観察でき、不思議さにも気付くことができるということをメッセージとして盛り込んだ。

 そして森の中のさまざまな環境をめぐり、子どもたち自身の発見を促しながら、共に観察するという内容にした。

 一口に自然を散策しよう、森を歩こうというのは簡単なこと。そこに「どのような視点」を与えるかがポイントだと思う。

 一つ目の大切な視点は、諸感覚を使うことだ。生きものと出会うためには、まず自分の諸感覚を集中して活用する。目をこらしていろいろな生きものを見つけ、何をしているのか、どんな形なのかを確かめる。さらにその手ざわり、匂い、周りの音にも注意をはらう。

 そうすることで、ただ歩いただけでは出会うことのできない生きものを観察することが、より一層可能になる。

 二つ目の視点としては、森の中はいろいろな環境があるのを知ることだ。

 例えば森の中には草がたくさん生えているところ、常緑樹が生えているところ、落葉樹が多い場所、人が入りにくいようなやぶ。川や湿地や池などの水辺。それぞれの環境では、生きものたちが子育て、エサ取りなどさまざまなシーンで活用している。

 また、環境ごとに「食べる―食べられる」の関係も見られ、生きもののつながりを発見できる。一口に森といっても、さまざまな環境で構成されており、場所ごとに生息、生育している生きものが異なるという視点を持つことで、見え方が違ってくるはずだ。

 そして自然の見方を知った上でぜひ、これまで理科で学んだことを活用する機会にもしていただきたい。

 虫めがねや温度計などの道具を使う。昆虫や植物の体のつくり、太陽の動きや日なたや日かげの温度、流水の働き、天気など。3年生から学んでいる内容を、実際の野外で活用してみるというのも理科の延長として、復習になる。

 遠足や宿泊行事など野外にでかける機会が限られている中、ぜひ以上の視点を持って実施していただきたい。

 最新の自然情報は以下をご覧ください。URL=http://wbsj-yokohama.blog.jp/