【連載】本紙編集局はこう読む 深掘り教育ニュース

 紙面に掲載した連載の初回分を紹介します。

国立大学の3タイプ分けが決定

進路指導にも大きな影響与える

 国立大学を3タイプに機能分化する、グループ分けの内容が明らかになった。各大学のグループ分けが決定したことにより、来年度から国立大学の改革・再編に、さらに拍車がかかることになりそうだ。国立大学は、わが国の全大学数からすれば1割強だが、そこが変われば、高校の進路指導にも影響を与えるだろう。

■55校が地域貢献大学に

 文科省は8月28日、来年度予算案概算要求と国立大学の入学定員予定を発表した。マスコミなどではあまり報道されていないが、注目されるものの一つに、国立大学の「機能強化」(機能分化)がある。全国で86校ある国立大学を3タイプに機能を分化させ、大学ごとに特色を打ち出させるのがねらいだ。

 同省は、国立大学法人運営費交付金の中に、新たに「機能強化の方向性に応じた重点支援」のために404億円を要求した。その機能強化の方向となるのが、次の3タイプだ。

 (1)主として、卓越した成果を創出している海外大学と伍して全学的に卓越した国立大学(トップレベル大学)

 (2)主として、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界・全国的な教育研究を推進する国立大学(特色大学)

 (3)主として、地域に貢献する国立大学(地域貢献大学)

 要するに、運営費交付金を重点配分することにより、国立大学を3タイプに誘導しようという施策だ。そして、そのタイプ分けは、既に決定している。概算要求の中のリストによると、全国86校の国立大学は、次のようになる。

 (1)トップレベル大学(16校)=北海道大学、東北大学、筑波大学、千葉大学、東京大学、東京農工大学、東京工業大学、一橋大学、金沢大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、岡山大学、広島大学、九州大学

 (2)特色大学(15校)=筑波技術大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京学芸大学、東京藝術大学、東京海洋大学、お茶の水女子大学、電気通信大学、奈良女子大学、九州工業大学、鹿屋体育大学、政策研究大学院大学、総合研究大学院大学、北陸先端科学技術大学院大学、奈良先端科学技術大学院大学

 (3)地域貢献大学=(1)(2)以外の55大学

■役割を再定義

 (1)のトップレベル大学は、東大をはじめとする旧帝大系と東工大、筑波大、一橋大などは順当なところだが、千葉大、金沢大、岡山大などがくい込んだ。

 (2)の特色大学には、東京芸大、東京医科歯科大などのほかに、お茶の水女子大なども入っているが、これは女子教育というとだろうか。そして、ほとんどの地方国立大学は、「地域貢献大学」に位置付けられた。

 国立大学の機能分化は、文科省の「国立大学改革プラン」(平成25年11月)、教育再生実行会議第3次提言「これからの大学教育等の在り方について」(25年5月)などで提言された。また法人化後の国立大学は、6年ごとに各大学が「中期目標・中期計画」を策定することになっており、28年度は第3期中期目標・計画開始の年度に当たる。

 このため文科省は、第3期中期目標・計画の策定に当たり、どの機能分化を選択して大学運営を行うか決めさせるため、各国立大学に「大学ミッションの再定義」を厳しく求めていた。概算要求のタイプ分けは、この再定義を受けたものだ。

 来年度は404億円(要求額)の重点化枠だが、今後、国立大学の予算は、トップレベル大学16校を中心に配分されていくことは、間違いないだろう。

■「横並び」は終焉

 一方、来年度の国立大学入学定員予定を見ると、「地域デザイン科学部」(宇都宮大)、「国際地域学部」(福井大)、「芸術地域デザイン学部」(佐賀大)、「地域資源創生学部」(宮崎大)などの学部が新設されることになっており、「地域貢献大学」への機能分化の動きが実際に始まりつつある。

 さらに、これらの動きは安倍晋三政権が掲げる「地方創生」政策も大きく影響している。来年度以降、国立大学再編の動きは、ますます加速することになろう。地域貢献大学では、次第に、教育内容を所在地周辺の産業振興や人材育成に特化していくだろう。

 一部難関校を除けば、国立大学の教育内容は、ほとんど同じという「横並びの時代」は、終わりつつあるといえる。国立大学が変われば、当然、高校の、さらには中学校の進路指導にも影響を与えることだろう。大学の改革・再編は、他の学校種にとって、対岸の火事ではない。