敬愛大学国際学部教授・教職センター長 向山 行雄

スポーツの秋。各地で運動会の練習が真っ盛り。東京オリンピックまで2年足らず。 2020年6月20日は新学習指導要領準備の折り返し点。この日前後に、各学校が業者に発注した通知表が届く。それまでに、各教科等で育成すべき資質・能力について、学年ごとに明らかにする。評価規準を作成し、保護者に説明し理解を得ておく。――聖火リレーが東北の被災地を回っている頃。 準備のゴールは7月20日。……

長崎県は、離島の数が日本一の都道府県である。離島では、これまでもさまざまな遠隔地と結んだ教育の取り組みが行われてきた。行政無線などを使った広域教育工学総合システムのNIGHTシステムは、昭和40年代に誕生。遠隔地との教育の礎を築いた。人口減少社会の中、離島の小規模学級を含んだ全ての子供たちに「主体的・対話的で深い学び」を実現する遠隔合同授業が求められている。 そこで今回は、長崎市の小学校同士をつないだ遠隔合同授業の取り組みに触れたい。 同市には、世界遺産の端島(軍艦島)がある。……

部活動を完全に学校から切り離すことは可能なのか――。本来は、授業が終わった後の課外活動は全て民営化するのが望ましいのかもしれない。 学校の教育活動が終わった後、別の法人が責任団体になって、学校施設内で子供や地域の方々にさまざまなプログラムを提供する形態である。しかし、現時点で即座に全ての課外活動を民営化するのは現実的ではない。 民営化に向けてはステップを踏む必要がある。……

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

今回は、学校の医療的ケアに関する法律や通知について説明する。
■医療的ケアに関する法律
喀痰(かくたん)吸引などの医療的ケアは、2012年施行の改正社会福祉士及び介護福祉士法で定められた。この法令により、医療職以外のヘルパーや教員らが医療的ケアを行う場合の研修が定められ、厚労省と文科省は喀痰吸引などの研修に関するテキストを作成した。 医学の進歩を背景に、NICU(新生児集中治療室)に長期入院した後、引き続き、たんの吸引や経管栄養、人工呼吸器や胃ろうなどの医療的ケアを日常的に必要とする障害児が増加したことが理由に挙げられる。……

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

肢体不自由生徒が高校生活を送る上で、日常生活(食事、排せつ、教室移動の補助など)や学習面のサポートを誰が担うかは大きな課題になる。特別支援学級や通級による指導の対象者が増加しており、通常学級に在籍し発達障害のある生徒への教育的対応も一層求められている。これらを背景に、教員のマンパワーだけでは十分な支援が困難な場合も多くなっている。 特別支援教育支援員の活用は、教員の心理的、身体的な負担を軽減する。肢体不自由な生徒の障害に応じた適切な教育を施す上でも一層重要になっている。当事者側も学校側も肢体不自由者の高校進学を推進するために不可欠な支援だと考えている。 特別支援教育支援員の活用には、さまざまな課題もある。……

最近のニュースで最も腹立たしかったのは、「東京医科大学の不正入試問題」である。同大の内部調査委員会(弁護士3人で構成)がまとめた調査報告書によると、過去2年間で文科省前科学技術・学術政策局長(受託収賄容疑で逮捕)の息子を含め、計19人に個別の加点が行われていた。その手口はまさに「金権入試」そのものである。 さらに驚いたのは、一般入試の小論文で3浪までの男子に加点する一方、女子は100点満点を取っても80点にしかならないよう得点調整していたという事実である。結婚や出産を機に職場を離れるケースが多いという理由から、女子合格者を全体の3割前後に抑え、系列病院の医師不足を回避する目的があったとされる。 女子の減点について報告書では「女性差別以外の何物でもない」と指摘し、ダイバーシティを推進していたという同学の記者会見でも「痛恨の極み」と頭を下げたが、問題の根は組織的に水面下で行っていた点にある。……

開善塾教育相談研究所所長 藤崎 育子

開善塾では年間を通じて、不登校の子供のためのふれあい合宿を群馬で行っている。 通常は、家庭訪問を繰り返し、仲良くなった子供たちとする合宿をこの夏、初めて東北の地で行った。預かる子供は経験上、3~4人くらいが理想だと思っていたが、集まったのは長期欠席や、学校になじめずいる中学生が8人。大人は開善塾スタッフ、学校の教師、地域の方、学生など8人である。2泊3日の合宿で目指したのは、子供一人一人の自主性が少しでも高まるようにすることだ。 午後4時、「夕飯はギョーザとシューマイだよ」と言うと積極的な子供が「どうやって作るの?」と寄ってきた。……

東京理科大学教職教育センター准教授 井藤 元

前回、場の空気が重い場合、漫才師たちは空気を瞬時に察し、状況を変える技術を身に付けていると述べた。だが、彼らはそもそも完全なホーム(安全)を望んでいるわけでもないのだ。この点が複雑で面白い。 優れた漫才師は緊張感と付き合うのがうまい。緊張感を味方につけることで観客の心をつかむすべを知っている。たとえ何度も舞台で披露しているスベリ知らずのテッパンネタであっても、慣れすぎてしまうと一つ一つの言葉の勢いが半減してしまい、観客の心を捉えることができない。ゆえに漫才師たちは惰性を恐れている。予定調和は彼らの敵なのだ。漫才師たちの主戦場である舞台(ライブ)の本質は、その「一回性」にあり、いま・ここでしか体験できないパフォーマンスを享受するために観客は劇場へと足を運ぶ。慣れは一回性の本質に反するため、避けねばならない。 緊張感を保つために漫才師が行っている工夫は、教師にとってヒントの宝庫である。……

 私たちもテレビ会議を仕事で使うのが一般的になってきた。家庭でも、遠く離れた実家の両親に孫の顔を見せている人は多いだろう。テレビ会議はひと昔前、なかなかスムーズにいかないこともあったが、技術の進展と共に悩みも減ってきている。環境整備により、「遠隔合同授業の敷居はそう高くない」とお考えの方が多いかもしれない。 ただ、授業の実施となると格段に難しくなる。先ほど挙げた例は、少人数のコミュニケーションである。会議でも、多少の工夫や少しの我慢で乗り切ることができる。 一方、遠隔合同授業では、「対面の授業に相当する」ことが条件になる。……

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

医療的ケアを巡る歴史の3回目は、現在の学校の医療的ケアに至る流れを述べる。
■医療職以外のスタッフによる医療的ケア実施の拡大
社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正(2012年4月施行)により、教員や学校介護職員などの看護師以外のスタッフでも、指定研修の修了者が都知事の認定証の交付を受ければ、特定の医療的ケアを実施できるようになった。その結果、違法性阻却(そきゃく)の考え方に頼らずによくなった。 副次的な業務でも本務に関係する業務として、校長は教職員に医療的ケアを行うよう命じることもできるようになった。……

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