東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

医療的ケアを巡る歴史の3回目は、現在の学校の医療的ケアに至る流れを述べる。
■医療職以外のスタッフによる医療的ケア実施の拡大
社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正(2012年4月施行)により、教員や学校介護職員などの看護師以外のスタッフでも、指定研修の修了者が都知事の認定証の交付を受ければ、特定の医療的ケアを実施できるようになった。その結果、違法性阻却(そきゃく)の考え方に頼らずによくなった。 副次的な業務でも本務に関係する業務として、校長は教職員に医療的ケアを行うよう命じることもできるようになった。……

部活動の問題で議論すると、その根底に、自主的・自発的というキーワードが横たわっていることに気付く。 実はこの自主的・自発的な働き掛けによって成り立ち、広く展開している活動は他にもある。例えば、地域の自治会活動がその一つだ。そこで、地域自治の仕事と部活動の仕事の共通点を整理してみる。 一般的に町内会などの地域自治の仕事に報酬はないが、その仕事には一定の責任が伴い、時には義務も生じる。……

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

施設・設備の充実は、肢体不自由者と学校にとって、最も重要な基礎的環境整備と合理的配慮である。筆者自身、高校進学の際、バリアフリー設備の整備状況を重視して学校を選択した。その中で施設設備が整っていないことを理由に入学を断られるケースもあった。 筆者は、2015年度に全国の全日制、定時制課程の高校4939校に調査を実施した。施設・設備面の整備状況では、回答した全1536校で「階段の手すり」が72.7%と最も整備が行われていた。 続いて「障害者用トイレ」が68.7%、「段差解消のためのスロープ」が55.3%という結果だった。……

■手ぶらで登園、お知らせはデジタル化
スウェーデンのプリスクール(forskola)に子供を入れて驚いたことがある。毎朝の持ち物がほとんどないのだ。着替えの服やおむつは定期的に補充する必要があるが、毎日の登園は手ぶらなのである。お昼寝も、大きな布団セットは必要なく、週初めにタオルケットや毛布だけを持っていけばよい。持ち物が少なくていいのは、朝の時間をひと手間でも省きたい親としては大助かりだ。 さらに、お便り帳や幼稚園からのプリントなど、紙のやりとりもない。そのような情報はすべてデジタル化されており、保護者はデジタルプラットホームにアクセスして、お知らせを確認する。そこで興味をひかれたのは、園やクラス全体に向けたお知らせだけでなく、自分の子供の園での様子を知ることができることだ。例えば、クラスで散歩に行ったときに何に興味をもったのか、部屋の中で積み木を使ってどのように遊んでいるのか、そういった日常の子供の様子が、折に触れて複数の写真や、時に動画とともにつづられていた。日本の園で見られる「お便り帳」がデジタル化されているような印象だ。
■教育的ドキュメンテーションと質向上
個々の子供の活動の記録は、実は単に様子を知らせてくれるだけのものではなかった。……

授業設計をどうするか、時間をどう調整するか。その実際はさておき、遠隔合同授業はどんな条件でも実施できるのか――。現在、小・中学校では、基本的に現行の制度的な枠組みに従って遠隔合同授業を実施しているが、高校では遠隔合同授業に向けた法整備を進めている。法整備は、今後どの校種でも、参考情報として議論の土台になる可能性があるため確認しておきたい。 通知「学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」(2015年文科省第289号)では、高校での「多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させる授業」(メディアを利用して行う授業)について書かれている。この省令により、高校などでは、メディアを利用して行う授業ができるとした。 ただ、それには条件がある。……

東京理科大学教職教育センター准教授 井藤 元

漫才師たちは舞台上で絶えず軌道修正を行っている。彼らの本能的ともいえる「場の空気」への鋭敏さには目を見張るものがある。彼らは高いプレゼンテーション能力を身に付けているが、それは単に「話術にたけている」ことだけを意味するのではない。出番前には舞台袖から客席の様子を探り、舞台上では客の反応を見ながら空気を察し、都度対応してゆく。アウェーの空気を感じ取り、「客席が重い」とみれば、まずは場を温めることに全力を注ぐ。「重たい空気を放置したままでは笑いは生まれない。状況に応じてツカミの時間を長く確保し、ウケやすい空気に変えてから本題に入ることもある」。彼らは空気を察する高性能のセンサーを備えており、同時にその空気を変えてゆく力を併せ持っている。 実のところ、勝負は開演前から始まっている。例えば、劇場での観客の座り方によってもウケ方が変わってきてしまう。「仮に観客の数が同じ場合、観客がまばらに点在しているのと前列から隙間を空けずに座っているのとでは、同じネタをやってもウケ方が異なる」という。後者の方が圧倒的に望ましいのだ。客同士の距離が近いため笑いが連鎖し、かつ演者と観客の間で一体感も生まれやすい。劇場スタッフは前から詰めて座るよう、観客を誘導する。 また、登場時の冒頭30秒(ツカミ)は漫才師たちにとって最も大切な時間だ。……

埼玉学園大学教授 梅澤 実

 新学習指導要領の完全実施が迫っている。この改訂は、これまでの知識観、学習観の変革が教師に求められている。  教育改革は、決してトップダウンで実現するものではない。改革の具現化は、一人一人の教師の実践にかかっている。教師の役割の一つは、子供たちにとって魅力的なモデルとなることだが、今、改めてそのことに思いをはせる。  そこで二人の実践者の言葉に耳を傾けてみよう。……

 諸外国と比べ日本の児童生徒の自己肯定感が低い傾向にあることが問題視されているが、8月22日に文科省で開かれた全国学力調査に関する専門家会議で、小・中学生の自己肯定感はむしろ高い傾向にあることが明らかにされた。  今年の4月17日に実施された、2018年度の「全国学力・学習状況調査」の質問紙調査結果によると、「自分にはよいところがあると思いますか」の質問に対する肯定的な回答は13年度以降増加傾向にあり、18年度は全体の約8割に上った。  また「学校生活の中で、児童生徒一人一人のよい点や可能性を見付け評価する(褒めるなど)取組をどの程度行いましたか」に肯定的な回答を寄せた小中学校の割合は14年度以降大きな変化はみられなかったが、18年度は9割を超えた。……

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

医療的ケアを巡る歴史の第2回目では、教職員が医療的ケアの担い手に加わる過程を述べる。
■違法性阻却(そきゃく)の時代~東京都の救急体制整備事業を例に
医療的ケアが必要な子供の受け入れは、現状で保護者の負担も大きい。そのため、学校(教員)とPTA(保護者)、文科省、都道府県教委の関係者が知恵を出し合って打開策を探った。 例えば、東京都の検討委員会で考え出された制度が「救急体制整備事業」だった。……

大ヒット漫画「ちはやふる」とその映画化をきっかけに、中高校の競技かるたの競技人口が爆発的に増加した。かつて、大学生が主体だった選手層も、今は中高生がかなりの割合を占めている。 神奈川県の高校総合文化祭のかるた大会の参加者は、2009年度が34人だったのに対し、17年度は255人と7.5倍になった。クラブの新設も相次ぐ。日本一を決める高校選手権の県予選への参加校も、09年度が5校だったのに対し、今年度は過去最多の28校に増えた。 一方で、県の高文連かるた専門部に携わる教員は、中心になっていた教員の退職が相次ぎ、減少傾向にある。……

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