横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

高校の特別支援教育の考え方や議論は進んできている。しかし、実際の教育現場で、教育を受ける障害者側と教育を施す学校側の考え方や求めるものが双方で十分に理解されていない。入学への過程やその後の学校生活がスムーズに行われているとはまだ言い難い。 筆者自身、中学3年時の事故で重度の肢体不自由になるも、学校で学びたいという意欲を持ち続け、高校進学の道を模索し続けた。 肢体不自由者が高校進学を希望した場合、主な選択肢は、高校と特別支援学校高等部が考えられる。……

これまで9回の連載をお読みいただいた感想はどのようなものだろうか。 弁護士が書くものだから、もっと法的でロジカルな内容を期待していた読者も多かったかもしれない。 スクールロイヤーの仕事は、問題行動を起こしたり不登校になったりした子供の「子供観」を見取り、教員が子供と保護者にどう「寄り添う」かを支援するといった、エモーショナルな事柄に通じることが多い。……

生徒の教師への暴力被害とその対応について大きな関心を呼んでいる。きっかけは、NHKの「クローズアップ現代+」(8月10日放送)で、「教師への暴力」問題が取り上げられたことだ。 番組では実際に暴力を受けた教師や、暴力事件が起きた学校の元学校長が取材に応じた。小学2年生の男子児童からバットで後頭部を殴られた20代の教師は、「耳がつぶされるような感覚だった」と回想する。その後聴力が回復せず、打撲の痛みも残り退職を余儀なくされたという。体の傷は次第に癒えても心の傷は残る。 被害に遭った教師は、警察への通報について「必ずすべき」と主張する。……

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

『やまと』は、40年以上続いている奈良県教育振興会の会誌である。その7月号に元小学校長で米国の補習授業校の校長もした森本昭憲氏が帰国子女の課題について書いている。 その文中「帰国子女は、外国へ行って言葉で苦労し、帰国して日本の学校に適応するのにまた苦労する」と言われます、という。 日本の子供なのに、日本の学校に適応が難しいのはなぜか。……

普門館を目指す――。全日本吹奏楽コンクールが、かつて東京都杉並区の普門館で行われていた頃は、野球部が甲子園を目指すように、多くの吹奏楽部が普門館での演奏を目標にした。年間を通じて、大小さまざまなコンクールがある。合唱なども同様だ。これらのコンクールに勝つのを目標に、日々練習に励んでいる生徒は多いだろう。 コンクール以外にも、音楽系部活動が関係する対外行事は多い。運動部の応援演奏、地域の小学校の運動会での入場行進、保育所の音楽会、公共施設や商業施設でのイベント出演など、これらは私の母校(公立中・高)のウェブサイトに載っていたものだ。集客が見込めるからだろうか、お盆休みも行事が入っている。部活動の「自主公演」もある。これらの行事に向けた準備も必要だ。 公演やコンクールの当日は楽器の運搬も必要なことが多い。……

(一社)コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事 久保田 裕

福岡教育大学の大和淳教授は、教員に向けて講演を行うとき、〇×式の著作権理解度テストをするそうだ。以下は、その一部である。 1.人の容姿を撮影した写真を学校の広報紙やホームページに掲載する場合、当該写真の被写体となった人から写真の著作物の利用について許諾を得る必要がある。 2.教育目的であれば、原則として無断で他人の著作物を利用できるが、著作権法の規定に抵触する場合には、当該著作物の著作権者の許諾を得る必要がある。……

前号でも触れられているが、遠隔共同学習の取り組みは2002年度実施の小・中学校の学習指導要領で「総合的な学習の時間」が実施され、インターネット環境が一部の学校に導入されたことを背景に、盛り上がりを見せるようになった。 「100校プロジェクト」以外では、NHK学校放送番組の活用と連動して実施した取り組みがある。それが『インターネットスクール・たったひとつの地球』という環境教育用番組である。番組を視聴するだけではなく、掲示板上で意見を発信したり、学校間をテレビ会議システムでつなぎ、地域の環境問題を話し合ったりする活動が行われた。 これが発展し、01年から「おこめ」という番組がスタートしている。……

東京理科大学教職教育センター准教授 井藤 元
仁(にん)を知るという課題の後には、それを的確に打ち出すことが求められる。プロの漫才師と共に授業を運営する中で、彼らのリフレクションの精度の高さには度々驚かされた。その姿はさながらプロ棋士のようである。 将棋の世界では対局後、開始から終局までを振り返る、いわゆる感想戦が行われる。棋士たちは一手目からの流れを全て記憶している。感想戦では一手一手に込められた意図が明かされ、悪手の場合はどこに打てば最善手となったか検討する。 笑育の授業後もまた感想戦が行われる。……

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

まず、現在の学校における医療的ケアに至るまでの大まかな流れを述べたい。
■養護学校創始の時代
1932年、日本で最初の肢体不自由教育を行う学校が東京都港区南麻布に開校した。東京都立光明学園の前身である「東京市立光明学校」だ。その後、世田谷区松原に移転した。戦前、戦時下の疎開、戦後と激動の時代の中で、全国唯一の肢体不自由公立校として、教育を蓄積した。 1957年に養護学校に移行し、専門教育を継続した。……

東京理科大学教職教育センター准教授 井藤 元

 今回はキャラとの対比で仁(にん)の問題をさらに掘り下げていく。キャラと仁は決定的に異なる。イジられキャラ、モテキャラ、陰キャラ……それらは仁ではない。「キャラが仁に合っている」という表現は可能だが、キャラ自体が仁とイコールなわけではない。キャラは状況ごとに変えられるが、仁は場面ごとにコロコロと変わるものではない。また、キャラは他人とカブることがあるが、仁は決してカブらない。  そもそもキャラは状況依存的に変わっていくのが常である。例えば、大学では誰から見ても物静かな女子学生が、バイト先ではシフトリーダーとして振る舞い、家族の前ではお調子者、といったことも珍しくない。どれかが本物というわけではなく、いずれの顔も状況に応じて現れた彼女の姿に他ならない。もっとも、それぞれのキャラはバラバラに分裂しているのではなく、緩やかに統合されている。複数のキャラのうち、自分らしさが発揮できているものがあれば、それは「仁に合ったキャラ」ということになる。  キャラの考え方は実に便利である。キャラがあることで役割分担が明確になり、コミュニケーションが円滑になる。……

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