eye-catch_1024-768_takashina-challenge教育創造研究センター所長 髙階玲治

〇全国公立教頭会の働き方改革への提案
学校の働き方改革が多様に論じられている。中教審の「中間まとめ」は教師の負担軽減のためにさまざまな提案を行っているだけでなく、スポーツ庁が中・高校の部活動の改善方策を提案しており、今後そうした動きは確実に学校に浸透していくであろう。 しかし、学校の働き方改革は部活動のみではない。学校の在り方そのものに関わる重要な課題が山積していて、中教審の特別部会は極めて難しい課題解決を迫られている。 今回、その顕著な課題の一つとして浮かび上がったのが、全国公立学校教頭会(全公教)の動きである。……

神戸市立中学の3年女子生徒が2016年に自殺した件において、事件直後に教員が同級生からいじめの存在などを聞き取ったメモを、市教委の首席指導主事の指示で隠蔽(いんぺい)していた事実が発覚した(本紙6月21日付既報)。これを学校教育関係者は、どう受け止めるべきなのか。 ■自校生徒の自殺でいじめが発覚したら 今回のテーマについて、正直、どう書けばよいのか相当に迷った。どう考えても、市教委と学校の対応を擁護することはできないからだ。 さりとて、問題の背景を的確に分析して、堂々と正論を吐いたとしても、ほとんどが教育関係者であろう本紙読者の共感を得られないだろう。それほど、この問題は教育界にとって根が深い、そして「しんどい問題」といえる。 改めて問うてみよう。……

eye-catch_1024-768_takashina-challenge教育創造研究センター所長 髙階玲治

新指導要領の理解・徹底は十分か
〇新指導要領の「理解」のさらなる促進を
すでに新学習指導要領の移行期が始まっているが、新しい教育への理解はどうであろうか。試みに次の「問い」を考えてみてほしい。 (1)「主体的・対話的で深い学び」が言われていますが、どうすれば「深い学び」と言えますか。 (2)学力の三つの柱の一つが「学びに向かう力」です。どのような「力」と言えますか。……

小学校では、教科「道徳」の先行実施や外国語の移行措置が始まり、高校では新学習指導要領が告示された。学校現場では主体的・対話的で深い学びの実現に向けた準備が進む中、学校における働き方改革をはじめ、改善しなければならない懸案事項が山積する。文科省は今年度、これらの課題にどのように取り組んでいくのか。髙橋道和初中局長に聞いた。第1回では、学習指導要領への対応や学校における働き方改革を中心に施策を聞いた。
■「特別の教科 道徳」と外国語
――新学習指導要領への円滑な移行実施に向けて、学校現場で具体的にどのような取り組みを進めていく必要があるか。
「特別の教科 道徳」はまさにこの4月から、全国の小学校で全面実施されている。この新しく教科化された「道徳」では、児童が、答えが一つではない道徳的な課題を自分自身の問題として捉え、本音で語り、向き合い、考え議論する道徳への転換を図っていく。その方向に沿った取り組みが今、全国で実施されている。 学校現場では今年度から検定教科書が使われている。また、文科省では従来から「道徳」の地域教材の開発などを支援してきた。こうした地域教材と検定教科書を有機的に活用することが重要になる。 それから、答えが一つではない問いに対して、自分ならどう考えるかといった問題解決的な学習や、さまざまな立場に実際に立って、演じながらそのときの心情について考える体験的な学習を取り入れるなど、指導方法の工夫にも取り組んでいただきたい。……

深掘り・小宮山教育新聞特任解説委員 小宮山 利恵子 (リクルート次世代教育研究院院長)

 今月初旬、米カリフォルニア州サンタクララにて開催されたAugmented World Expo USA 2018に参加した。今年で9回目となる全米最大級のAR/VR/MR(これらの総称がXR)に関するイベントで、約1万6千人が参加。テレポーテーションを使った基調講演から始まり、手品を見ているようなセッションも多く、未来を感じることができた。  1968年にAR/VRが登場してから今年で50年。XRは来年にかけてそのユーザー数は10億人に達すると言われている。既にXRが普及しつつある産業もあり、その動きは今後教育にも広がると考えられる。XRがどのように使われ、これからの教育では何が重要となってくるのか考察してみたい。 ■XRを使った学び  今回のイベントで印象的だったのは、Qualcomm社が紹介していた未来の学びだ。……

学校を変えるためのリーダーシップ開発

学校を変えなければ――。そう思っていても、二の足を踏んだり、あきらめたりする教員も多い。学校を変えるために、具体的に何から行動すればいいのか。中原淳立教大学教授は「一人になってはいけない」とアドバイスする。最終回となる第3回では、中原教授による立教大学での新たな挑戦も聞いた。
■外部人材のマネージングコスト
――学校にタイムカードを導入したり、部活動指導員を入れたりしても、結局そこでできた時間も教員は働いてしまう。
「残業を減らしたら教育の質が下がる」「残業を減らすと子供に申し訳ない」という罪悪感が存在するからです。こうしたジレンマが存在するのを見落としてはなりません。そして長時間労働を減らすのならば、「時間を意識していただく施策」は絶対に必要です。 ただ、それは短期的な課題を解決するための「外科手術」です。同時に漢方薬を飲むように「体質改善」も行わなければなりません。その中でジレンマを少しずつ解除していく他はないのです。
――部活動指導員やスクールサポートスタッフなど、人材を学校外から投入する案が出ています。
その場合は、教員が負担するマネージングコストも算段に入れる必要があるのと、コストは誰が払うのかという問題があります。……

東京都足立区の公立中学校が行った性教育を取り巻く問題をきっかけに、性教育の在り方を考えるシリーズ。「望まない妊娠や性感染症を防ぐこと」を第一とする性教育ではなく、「命の大切さを知り、自分を守ること」を目指す学びにするため、子供の性をめぐる問題を専門的に研究する識者が、それぞれの立場で問題に迫る。全4回の連載。最終回は、東京学芸大学に所属するスウェーデン在住の研究者・中澤智惠研究員。

これからの性教育を考える~スウェーデンを手がかりとして~

中澤智惠・東京学芸大学研究員
■スウェーデンでの学び 性教育をモラル・道徳化しない
日本はいつまで、子供たちに性交を教えないままでおくつもりなのでしょう。子供や青少年に、学校や家庭でどういう性教育をしていけばよいのか、どう考えたらよいのか、日本ではいまだに共通認識や指針をもてないでいるようです。国際的水準では、国際セクシュアリティ教育ガイダンスが示されていますが、今回は、具体的に考える一助としてスウェーデンの状況についてご紹介したいと思います。 スウェーデンでは、学校での性教育は1955年から必修です。ただ、性教育という教科はなく、全教科にわたって「ジェンダー、セクシュアリティ、関係性」を取り扱うこととされています。スウェーデン学校庁の性教育ガイドを見てみると、学校での性教育には三つの柱があります。一つは、教科統合的・横断的な取り扱いで、各教科の授業において、ジェンダー、セクシュアリティ、平等、関係性にかかわる内容や視点を組み込むことです。もう一つは、性教育として特別授業やテーマ学習の機会を設けることで、最後に、日常の学校生活場面で、生徒の言動や質問などから学びを展開していくことです。 学校での性教育に際して重視されるのは、観点・視点です。…

eye-catch_1024-768_chichibu国立教育政策研究所研究企画開発部総括研究官 千々布敏弥

この欄でこれまで、新自由主義とポピュリズムについて考えてきた。今回は保守主義について考えてみたい。 東京大学社会科学研究所教授の宇野重規によると、保守主義とは歴史や伝統で社会的に認められた制度や考え方を尊重し、現実を重視しながら漸進的に世の中の制度やルールを変える志向性を意味している。 英国や米国で市民革命により獲得された市民の権利としての自由は、無制限なものでなく、歴史的に少しずつ社会に認められてきたものであり、法律だけでなく人々の規範レベルで尊重されているものである。……

6月9日土曜日、東京・銀座の中心街に位置する小学校のグラウンドに、児童らの楽しげな声が響きわたっていた。その姿を追う教員や保護者、地域の人々のまなざしはとても穏やかだ。この日は銀座の企業や商店街、住民、保護者らを招き、この小学校の開校140周年を記念して記念イベントが開かれていた。 同校はほんの数カ月前まで、「アルマーニの制服の学校」としてマスコミに取りざたされていた、中央区立泰明小学校。世間を騒がせた報道の中には、和田利次校長の方針を批判的に取り上げるものも少なくなかった。 しかし目の前に広がるのは、あの騒動の影響をみじんも感じさせない、平和であたたかい理想的な教育現場。2種類の標準服を着た児童たちが何のためらいもなく、声を掛け合っている。各方面から想像以上のバッシングを浴びつつも「アルマーニの制服」の導入に踏み切った和田校長。あの決断を下し3カ月がたった今、児童の反応はどうなのか、新制服にした教育目的は達せられたのかを聞いた。
■児童の評判はよい
――新しい標準服を導入して3カ月がたちました。当初は「アルマーニの制服の学校」と注目を浴び、いわば騒動になりましたが、もう落ち着きましたか。
報道が過熱していた時期はいたずら電話がかかってきたり、登校中の児童がすれ違いざまに制服をつかまれる事案があったりと被害がありました。今はやっと落ち着いてきましたが、まだ電話をとるときは緊張感がありますね。
――新しい標準服を導入した校内の様子はいかがですか。
まったく違和感はありません。新しい標準服を着た1年生と現行の服を着た上級生が、ぴったりと寄り添って校門をくぐってくる姿を、保護者も地域の方々も、もちろんわれわれ教員も自然に受け入れています。 標準服に関しては、色合いがきれいだとか、丈夫だという意見が寄せられています。…

妹尾写真教育新聞特任解説委員 妹尾昌俊(教育研究家、中教審委員)

■ITのできることが広がってきた
5月16~18日に東京ビッグサイトで開催された「教育ITソリューションEXPO」を少し見てきた(講演もしてきた)。AI機能を備えたロボットやプログラミング教育の教材なども多数展示されていて興味深かったが、学校の働き方改革を前面に押し出した商品・サービスも多く目にした。 ロボットなどと比べると派手さはないかもしれないが、現場の先生方にとって特に助かるなと思ったのは、採点作業の効率化に関するものだ。例えば、手書きのテスト結果をスキャンして、パソコン上で同じ設問ごとに一覧表示して丸付けができるサービス。すごく最先端な技術という感じはしないのだが、かなり作業短縮になるのではないか。採点結果を読み込んで自動集計する商品もあった。また、スキャナーで読み込んだデータを基に、採点をほぼ丸ごと外注できるサービスもあった。 文字認識や画像認識などの技術も発達しているので、コンピューターによる自動採点も相当進んでいるようだ。

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