人型ロボット「ペッパー(Pepper)」約2千台を、プログラミング教育を支援する目的で、全国17自治体の公立小・中学校282校に無償で貸し出す、「Pepper 社会貢献プログラム スクールチャレンジ」を、ソフトバンクグループがこの1月に発表した。貸し出しは4月から3年間の予定だが、すでに一部の学校には先行して貸し出されており、教員らはペッパーの操作方法を学びつつ、どう学びにつなげるか検討を重ねている。先行校の1つ、東京都狛江市立狛江第四中学校(村上昭夫校長、生徒292人)の取り組みを取材した。

次期学習指導要領の『答申』が公表され、子供に身に付けたい資質や能力などに関する考え方を学習指導要領等で示されることになった。また、各教科等の目標・内容・方法・評価等を一体的に示す動きもみられる。

次期学習指導要領の『答申』が公表されて教育課題の舞台は学校に移ったと言える。いよいよ実践化に向けた学校の対応が始まる。 ただし、完全実施は小学校が2020年度、中学校はその1年後であるから、それまでの間に新しい教育への体制づくりが必要である。従来は学習指導要領改訂の翌年から一部の領域で移行措置が行われたが今回は2017年度は「理解・徹底」の年度とされている。やや余裕があると言えるであろうか。

小・中学校の学習指導要領改訂案が、2月14日に公表された。総則では、学校と社会の連携・協働の実現を図る「社会に開かれた教育課程」を重視。児童生徒が「何ができるようなるか」、そのために「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を意識しながら、教育内容を編成するカリキュラム・マネジメントを実施するよう求めた。言語能力や情報活用能力、問題解決能力などの資質・能力を育成し、現代的な諸課題(主権者として求められる力、健康・安全・食に関する力など)に対応できる力を身に付ける点を強調した。また、新たに前文を設け、改訂全体の方向性を明示した。こうした方向性に基づいて、小・中学校の教科・領域が改訂される。小学校の学習指導要領改訂案の前文(中学校はこれに準ずる)を全文掲載するとともに、総則および各教科領域の改訂ポイントをまとめた――。※改訂ポイント:(小)は小学校について (中)は中学校について 【総則】 〇教育基本法の理念や教育課程の役割など、「社会に開かれた教育課程」を実現していくにあたり、考え方を前文として新設 〇組織的・計画的に質的向上が図られるよう、カリキュラム・マネジメントの流れに沿った章立てに改善 〇学校等段階間や教科等間のつながりを見通した教育課程編成について明記。障害のある子供への指導も含め、1人1人の発達を支援する指導の充実など明記 〇言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力や、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力(主権者として求められる力や、健康・安全・食に関する力など)の育成を図る教育課程編成について明記 〇各教科等の特質に応じ、言語活動や体験活動、ICT 等を活用した学習活動等の充実を図るのを明記。小学校でのプログラミング教育についても明記 〇障害のある子供や海外から帰国した子供、日本語の習得に困難のある子供、不登校の子供など、特別な配慮を必要とする子供への指導と教育課程の関係について明記 〇教育課程の実施に当たり、家庭や地域と連携・協働していくのを明記 【国語】 ○語感を磨き語彙を豊かにする指導を改善・充実 ○引用の仕方や出典の示し方、情報の信頼性の確かめ方など、情報の扱い方に関する事項を新設 ○学年別漢字配当表に、都道府県名に用いる漢字(20字)を追加(小4) ○全領域に「考えの形成」または「考えの深化」の項目を位置付け 【社会】 ○歴史的分野を130から135単位時間、地理的分野を120から115単位時間に時数変更(中) ○主権者教育等の改善・充実 ○防災教育や海洋、国土教育の改善・充実(竹島、尖閣諸島を「我が国固有の領土」として初めて明記) ○「鎖国」を「幕府の対外政策」とするなど、歴史的事象の表記を学術研究の進展に対応して整理 ○専門家や関係諸機関等との連携を重視 【算数・数学】 〇日常生活、社会や数学の事象から問題を見いだし、主体的に取り組む数学的活動を充実 〇小・中学校を通じ、統計的な内容を充実 〇現行は中1で扱う代表値(平均値・最頻値・中央値)を小6に移行する 〇4年生で数量の関係同士を比較する方法として、簡単な割合を用いた比較の仕方を新たに扱う(小) 〇2年生の図形学習で「反例」を用語として新設。事柄が正しくないのを示す方法として扱う(中) 【理科】 〇知的好奇心や探究心を持ち、自然に親しみ、見通しを持って観察、実験などを行い、その結果を整理し、考察するなど、科学的に探究する学習活動を充実 〇理科を学ぶ意義と有用性の実感や関心を高める観点から、日常生活や社会との関連を重視 〇5、6年生に加え、4年生でも自然災害に関する内容を扱う(小) 〇全学年で自然災害に関する内容を扱う(中) 【外国語活動・外国語科】 〇学校段階間の学びを接続するため、国際基準を参考に、小・中・高校一貫した5領域(聞く、読む、話すこと/やりとり、話すこと/発表、書く)別の目標を設定 〇中学年から聞く、話すを中心にした外国語活動を導入。高学年から段階的に、文字や定型文を読む、書くを加え、教科として「外国語科」を位置付け、指導の系統性を確保。3~6年生で年間35単位時間ずつ増(小) 〇互いの考えや気持ちなどを外国語で伝え合う、対話的な言語活動を重視。扱う語彙数を1600~1800程度に改訂。授業は外国語で行うのを基本にすると新たに規定(中) 【特別の教科 道徳】(平成27年3月に先行して改訂済み) ○いじめ問題への対応の充実や、発達の段階を一層踏まえた体系的な内容に改善 ○検定教科書を導入 ○問題解決的な学習や体験学習などを取り入れる ○数値による評価や他者との比較は行わず、個人内評価で記述 ○調査書(内申書)への記載や入試での活用は行わない 【生活】 〇内容項目を大きく3つに整理。体験的な学習で育成する資質・能力(特に思考力・判断力・表現力等)が具体的になるよう見直す 〇試行、予測、工夫などを通して新たな気付きを生み出すことや、伝え合い表現する学習活動で学びを振り返り、気付きの質を高める 【音楽】 ○和楽器を含む、我が国や郷土の音楽の学習を充実(小) ○和楽器を中学年の旋律楽器の例示に追加(小) ○生活や社会での音楽の意味や役割について考える学習を充実(中) 【図画工作・美術】 ○造形や美術の働き、美術文化への理解を深める学習を充実 ○形や色などの造形的な視点で捉えることを、育成を目指す知識として明確に位置付け 【家庭、技術・家庭】 〇家庭分野では少子高齢社会などの社会変化や持続可能な社会の構築に対応し、家族や家庭生活、幼児、高齢者、食育、日本の生活文化、金銭管理、消費生活や環境に配慮した生活などに関する内容や学習活動を充実 〇技術分野では情報技術の高度化に対応し、プログラミングや情報セキュリティーについて充実。知的財産を創造、保護、活用する態度や技術に関わる倫理観の育成を重視 〇小学校家庭科では、実践的な活動に取り組む「家族、家庭生活についての課題と実践」を新設 【体育・保健体育】 〇体力や技能の程度、年齢や性別、障害の有無にかかわらず、運動やスポーツの多様な楽しみ方が共有できるよう配慮 〇投能力の低下傾向に対応した指導(小)や、オリパラ指導としてスポーツやパラリンピックの意義や価値を学ぶ内容(小中) 【総合的な学習の時間】 ○各学校の教育目標を踏まえた目標を設定 ○実生活・実社会の中で活用できるものを重視 ○プログラミングを体験しながら論理的思考力を身につける学習活動は、探究的な学習の過程に位置付ける 【特別活動】 〇人間関係形成、社会参画、自己実現の3視点を踏まえ、目標と内容を整理。各活動や学校行事で育成する資質・能力を明確化 〇小・中学校を通じて、学級の課題を見いだし解決に向けて話し合う活動を重視。学校教育全体で行うキャリア教育の中核的な役割を果たすのを明確化。小学校の学級活動内容に「キャリア形成と自己実現」を新設 〇各活動や学校行事を通して、自治的能力や主権者として積極的に社会参画する力を重視し、多様な他者との交流や協働、安全、防災などの視点を重視   【関連記事】 ◯【新】学習指導要領の関連記事教育は、教育基本法第1条に定めるとおり、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的のもと、同法第2条に掲げる次の目標を達成するよう行われなければならない。 1 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。 2 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。 3 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに,公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。 4 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。 5 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。 これからの学校には、こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ、一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが、各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実現していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な学習内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。 学習指導要領とは、こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるものである。学習指導要領が果たす役割の一つは、公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保することである。また、各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね、長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら、児童や地域の実態や課題を捉え、家庭や地域社会と協力して、学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である。 児童が学ぶことの意義を実感できる環境を整え、一人一人の資質・能力を伸ばせるようにしていくことは、教職員をはじめとする学校関係者はもとより、家庭や地域の人々も含め、様々な立場から児童や学校に関わる全ての大人に期待される役割である。幼児期の教育の基礎の上に、中学校以降の教育や生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら、児童の学習の在り方を展望していくために広く活用されるものとなることを期待して、ここに小学校学習指導要領を定める。   【関連記事】 ◯【新】学習指導要領の関連記事 【トップに戻る】

阪神・淡路、東日本、熊本などの大地震。発生が懸念されている東海・東南海・南海トラフの連動大地震。激烈な風水害。自然災害の猛威が各地に激甚災害をもたらしている。学校管理下での事故、通学路での交通事故なども、悲しいかな起きている。こうした中で、2月3日に手交された、第8期中教審最後の答申「第2次学校安全の推進に関する計画の策定について」は、学校安全計画や危機管理マニュアルの策定・検証を全ての学校に求めたほか、研修の充実や耐震化などの安全対策の実施について明記している。

文科省の若手職員から聞いた話を紹介したい。

ドナルド・トランプ米国第45代大統領の就任式が、1月20日に行われた。本紙では、同政権の教育長官人事などから、比較的に都市部に有利になってしまう学校選択制への動きや公教育への風当たりなどについて、教育コメンテーターの小松健司氏に解説記事をまとめてもらった(電子版1月24日付、紙版1月30日付掲載)。ここでは、就任式で語られた一節を基に、誰も論評していない異文化理解の視点と、そこに潜む学びの重要性について深掘りする。異文化への理解不足からくるテキストの誤読によって生じる、少々やっかいな問題である。

 連合総研が1月に発表した「教職員の働き方・労働時間の実態に関する調査」の結果では、小学校で72.9%、中学校で86.9%の教員が、1週当たりの労働時間が60時間を超えていた(本紙電子版1月19日付、紙版1月23日付1面で既報)。これは、医師など他業種と比べても、際だって長時間労働だという結果だ。有効な解決策はあるのか。有識者の考えや、現場の取り組みを追った。

本紙電子版1月6日付(紙面版1月16日付)は、「教員の多忙化解消へ 業務適正化で重点モデル地域指定」として、文科省が教員の多忙化解消に向けて、モデル地域の指定や「業務改善アドバイザー」派遣等を行うことを報じている。

中教審は学習指導要領改訂に向けた答申(案)を昨年12月15日に公表し21日に答申した。これによって主に2020年以降のわが国の学校教育の在り方がほぼ確定したと言える。わが国の教育はどう変わるのか。答申を読み解き、これからの教育の在り方を考えたい。

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