改元 学校ではどう対応するか

天皇陛下の譲位(退位)を巡り、このほど、平成31年1月1日に皇太子さまが即位し、新元号へと改元すると新聞報道された。有識者会議による論点整理、法を巡る論議、制定や手続きはまだまだこれからで、即位のタイミングもその通りかどうかは不透明なところがあるが、改元に際して学校現場ではどう対応し、何をすればよいのか。元全日中会長で本紙論説委員の細谷美明早稲田大学大学院客員教授が、教育指導と学校運営の2つの観点から提言する。


■即位の礼の日は祝日に

新年早々、驚くべきニュースが報道された。1月10日付の産経新聞第1面である。タイトルは「天皇陛下の譲位 新元号は平成31年元日から 皇室会議を経て閣議決定へ 法案提出は今年5月連休明け」というものである。その後、他紙も同様の記事を流し、2年後には現皇太子が新しい天皇となられると報じられた。今後、総理の私的諮問機関である有識者会議、政府、さらに国会の審議を経て事務的な手続きが進んでいくことであろう。

ただ、譲位や改元の時機は、まだ決定事項ではない。

それでも、改元に伴う社会的影響として新聞等が挙げているのは、特に運転免許証の有効年限やカレンダー等の年号表記のある証書・商品を扱う関係者のほか、パソコンのシステム業者の混乱を予想している。

それでは、学校における影響あるいは対応はどのようなものが考えられるだろうか。

改元については、明治時代に成立した皇室典範により、天皇一代に一元号という「一世一元制」が定められている。旧皇室典範は廃止されたが、昭和54(1979)年に成立した元号法においても、その原則が存続している。今回、譲位という形で新天皇が即位することとなろうが、学校においては、即位の礼が行われる日が1回限りの祝日となる以外、児童生徒に関して直接影響はないものと思われる。

■日本の伝統文化尊重の視点で

対応については、文科省および各地区の教委から具体的な指示が出ると思われるが、ここでは主に、教育指導と学校運営の2点から考えてみたい。

教育指導に関しては、「我が国の伝統と文化の尊重」といった視点から、わが国独自の文化である元号の由来や元号に込められた意味、さらに国民の象徴である天皇という存在についてあらためて国民の一人として考えさせる、というものだ。

かつて、第2次世界大戦終結の直後と元号法が成立した昭和54年以前に元号の廃止が広く論議された。その中には、天皇制の廃止といった極めて政治的・イデオロギー的な意見も出された。しかし、今回の譲位・改元の機会をとらえ、先の大戦後、災害時の被災者に対する慰問など天皇陛下並びに皇室の方々が現在に至るまで国民に対して果たされてきた行為などを子供たちに振り返らせることで、国民にとっての天皇や皇室の存在の意義、そして日本という国を考えさせ、理解させるのは大切なことであろう。

ちなみに、新元号の名称は、内閣総理大臣に指名された若干名の有識者より複数の候補名が提出され、閣議によって決定する。その際、次の事項に留意することが定められている。

一 国民の理想としてふさわしいような良い意味を持つものであること

二 漢字二字であること

三 書きやすいこと

四 読みやすいこと

五 これまでに元号又はおくり名として用いられたものでないこと

六 俗用されているものでないこと

■卒業証書の日付表示など対応

学校運営に関しては、学校から発行する文書や証書の日付を改めるといった事務的な手続きが中心となるが、改元が卒業式を間近に控える時期にあることから、卒業証書に記載する日付表示の対応が出てくる可能性がある。

現在、大部分の学校では卒業証書のうち児童生徒の生年月日の記載については、本人からの希望があれば西暦の表記をしているものと思われるが、このほかに証書の発行年の表示についても、西暦表記を要望してくるケースがあり、過去に裁判になったことがある。

既にこれらの訴えは、証書の様式決定権が校長の裁量の範囲内であること、そのことで授与される側の思想・信条の自由を侵害することはないことなどを理由に退けられている。

逆に、校長が西暦表記の卒業証書を発行し、教委の文書規定に違反したことで処分された事例もある。

元号は、わが国の長い歴史の中で日本人の心に溶け込んで定着した一つの文化であることを、校長は認識し、子供や教職員に向き合っていくべきであろう。

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