今年の重要なコア 今後に向けた好機に(鈴木崇弘)

城西国際大学大学院教授・日本政策学校代表 鈴木 崇弘

今年の教育をめぐる重要なコアは3つあると、筆者は考えている。

オリパラ教育

1つ目は「オリンピック・パラリンピック東京大会」だ。

スポーツ庁などから、大学長などに、次のような対応をとるべきであるという2018年7月26日付の通知が出ている。

「平成28年4月21日付け28ス庁59号で通知したとおり、学生が、オリンピック・パラリンピック競技大会等に参加することは、競技力の向上のみならず、責任感などの高い倫理性とともに、忍耐力、決断力、適応力、行動力、協調性などの涵養の観点からも意義があるものと考えられます。さらに、学生が、大学等での学修成果等を生かしたボランティア活動を行うことは、将来の社会の担い手となる学生の社会への円滑な移行促進の観点から意義があるものと考えられます。この観点から、平成32年度の学事暦を変更する予定の大学もあるところです。」

筆者の所属大学でも、この通知などに従って学事暦を変更している。

このような動きに対して、ネット上では、本来は自発的なはずのボランティア活動に関して、このような通知が出されるのは現代の国家総動員法ではないかという指摘もでている。

この点に関し、筆者は1964年の東京五輪を思い出した。当時小学4年生で、学校では授業の一環として、日の丸の旗を持ち、聖火ランナーを沿道で応援したり、TV観戦したりしたことを鮮明に覚えている。

校長と生徒会長が学校代表として、開会式に参加したりもしていた。

また、筆者の居住地はソ連選手団の事前キャンプ地で、練習場を何度も訪れ、選手たちからサインをもらってうれしかった記憶がある。

今にして思えば筆者にとってこれらが、海外や世界を感じた人生最初の体験だった。大きな影響を与えたといえるだろう。

近年は若い世代の海外への関心が低下しているといわれるし、あくまでも個々人の自発的な意識や活動が重視されるべきだが、今回の東京大会は、若い世代などのマインドを変化させ、日本を前向きに変えていく機会にしていくべきだろう。

個々人の主体的な意思や態度を生かしながら、学校では海外や世界を学ぶ機会を提供してはどうだろうか。

プログラミング教育と英語教育

2つ目は、小学校におけるプログラミング教育と英語教育だ。

前者はSTEM/STEAM教育の世界的流れの中で、日本でも行われる。

後者については、筆者は語学教育を否定しないが、さまざまなところでも指摘してきたように、今後AIによって急速に外国語の言語的なバリアーが下がる中で、どのような英語教育が求められるべきなのかについて議論を深化させ、方向性を真剣に考えるべきだと思う。

大学入試改革

最後が大学入試改革だ。「大学入学共通テスト」における英語民間試験と、記述式問題をめぐる混乱については、前回の拙記事「一連の混乱から考えるプロセスの重要性」を読んでいただきたい。

この問題は、政府や教育関係者ばかりではなく、当事者である高校生も巻き込んで、右往左往し中止・見直しに至ったが、現在の大学入試の問題・課題がなくなったわけではない。

この数年のテクノロジーを中心とした社会と世界の変化の中で、今後必要とされる人材や教育の手法は変貌してきている。

今回の中止・見直しを、大学入試を中心として、教育の在り方を再考する機会にしてはどうか。

また、その際には画一的でなく、より多様なアプローチと対応が生かされるようにすることで、今後に向けて力強く、しなやかに進めるよう社会も変化させたい。

日本は2020年を今後に向けた好機にしていくべきだ。

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