(本紙編集局はこう読む 深掘り教育ニュース)外国人児童生徒が増える

新たな視点が求められる

これからの学校教育では、グローバル化への対応が、大きな柱の1つである。これについて否定する者は誰もいない。だが、日本語指導を要する外国人児童生徒への対応で、市を挙げて取り組んでいる愛知県豊橋市について報じた記事(本紙1月25日付/文科省の外国人児童生徒の教育支援に関する有識者会議でヒアリング)からは、「もう1つのグローバル化」という問題が浮き彫りになってくる。

■日本語指導が必要は3万人

グローバル人材というと、国際競争に勝てる人間ということで、国外に出て活躍するというイメージが強い。同様にグローバル化は、日本人が積極的に海外に出て活躍することだという受け止め方が多いだろう。しかし、経済をはじめとするグローバル化の進展は、日本人が海外に出ていくと同時に、多くの外国人が日本にやってくる事態でもあるという現実を、意外と忘れがちだ。そして、日本に来て家族で暮らす外国人は、実は欧米人ではなく、中国をはじめとするアジア諸国、あるいはブラジルなど南米の人々が主流だ。

文科省の調査によると、日常会話が不十分などで日本語指導を必要とする外国人児童生徒は、平成26年5月現在、公立学校に2万9198人おり、年々増加を続けている。また、そのような外国人児童生徒が在籍する公立学校は6137校(小学校3790校、中学校1897校、高校384校など)に上る。さらに、これらの外国人児童生徒が住んでいる自治体は820市町村で、市町村全体の47・1%となっている。

日本語指導が必要な外国人児童生徒の母国語を見ると、ポルトガル語、中国語、フィリピノ語、スペイン語などで、これらの4言語で全体の80・4%を占めている。

またこれらの外国人児童生徒の在籍状況を見ると、「5人未満」という学校が8割近くを占めているほか、市町村でも「5人未満」という自治体が約5割となっている。これは日本語指導を必要とする外国人児童生徒が、特定の市町村に集中する一方、少しずつ全国に拡散している実態を示している。つまり、数が少ないため大きな問題になっていないものの、外国人児童生徒が日本の公立学校に通う姿自体は、もうありふれた光景となりつつあるといえる。

■「適応」だけが課題か

これからの日本社会を考えた場合、外国人労働者のニーズがさらに高まるのは確実で、それに伴い、公立学校に通う外国人児童生徒もさらに増えると予想される。日本語指導が必要な外国人児童生徒のうち、実際に日本語指導を受けているのは82・9%となっているが、今後は、いま以上に日本語指導の体制の充実が求められる。このため文科省は昨年11月に、有識者会議を設置し、日本語指導体制の整備・充実、日本語指導に携わる教員や支援員の養成・確保などの検討に乗り出した。

外国人児童生徒が増加していくのは確実だ。そして特定地域への集住化と同時に、広く全国に散らばる散在化が進行すれば、多くの自治体や学校が日本語指導の対応を迫られることになるだろう。だが、そこで気になるのは、外国人児童生徒への対応が、日本語指導や適応指導だけでよいのかという問題だ。日本の公立学校に通う以上、日本語を話せるようになり、日本の社会に適応できるよう指導するのは、子どもたちにとっても喫緊の課題であるのは間違いない。将来的には、進学や就職という問題も控えている。

しかし、これからグローバル化の中で外国人児童生徒の問題を考える場合、彼らだけに「適応」の負担を強いるのは、もう許されないのではないか。言い換えれば、日本人の子どもにとって、身近にいる外国人である彼らと接することは、グローバル化を理解するための手掛かりにもなるはずだ。

■内なるグローバル化を

グローバル化というと、日本人はどうしても欧米中心で考えてしまう傾向がある。だが実際問題として、これからのグローバル社会で共に仕事をするようになるのは、アジア諸国をはじめとした多様な国々の人々だ。

外国人児童生徒に「適応」を求めるだけでなく、共に学ぶことで日本人の子どもたちがグローバル化していくという視点がこれからは必須だろう。それこそが、もう1つの内なるグローバル化ではないだろうか。

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