(本紙編集局はこう読む 深掘り教育ニュース)教員の業務適正化で報告書

世界の中で労働時間が一番長いといわれる日本の教員。文科省のタスクフォースは6月13日、「学校現場における業務の適正化に向けて」と題する報告書をまとめた。一般報道では、休養日を設けるなど部活動の在り方ばかりが焦点化されているが、それは問題は一部にすぎない。

報告書の本当の狙いは何なのか。本紙は同日付で、横浜市教委が進める教職員の負担軽減策の実際を「ノー残業デーで校務改善」の見出しで報じている。

■新しい学校像の中で改善

「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と教務改善のためのタスクフォース」という長い名前が示すように、同タスクフォースの報告書は、もう一つの「次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース」の議論とセットになっている。つまり報告書は、専門スタッフと教職員が協働する「チーム学校」、学校と地域・家庭が協働する「地域とともにある学校」という新しい体制の中で、教職員の勤務はどうあるべきかとの視点に基づいており、単純に教職員の業務軽減を求めたものではない。

一般のマスコミでは、部活動の見直しによる教員の負担軽減の是非ばかりを論じているが、報告書が「チーム学校」と「地域とともにある学校」を前提にしている点を見落としていると、学校関係者は足元をすくわれかねないだろう。

報告書は、教科指導、生活指導などを一体的に行う「日本型学校教育」を今後も維持するとしたうえで、「固定化された献身的教員像を前提とした学校の組織体制では、質の高い学校教育を維持発展させることは困難」と指摘。「チーム学校」などを実現しながら「教員の担うべき業務を大胆に見直す」のを提言している。

■業務適正化で4本柱

報告書は、教員業務の適正化のための方策を4つの柱にまとめるとともに、今後の具体化に向けた工程表を示している。

まず1つ目の柱である「教員の担うべき業務に専念できる環境の確保」では、学校事務職員の職務内容の法的明確化と配置の充実、教員を補助する「業務アシスタント」(仮称)の検討、給食費などの公会計化による徴収事務の移管、成績処理や事務処理などを一括処理する「統合型公務支援システム」の整備などを挙げている。

2つ目の柱「教員の部活指導における負担を大胆に軽減する」では、休養日の設定、「部活動指導員」(仮称)の法令上の明確化など。

3つ目「長時間労働という働き方を見直す」では、管理職や教職員にタイムマネジメント重視の意識改革を図るほか、定期的な勤務実態調査の実施、「学校閉庁日」などの取り組みの推進など。

そして4つ目「国、教育委員会の支援体制を強化する」では、文科省内に「学校環境改善対策室」(仮称)を設置するほか、「学校業務改善アドバイザー」を各自治体に派遣するなどの施策を盛り込んでいる。

このうち、学校給食費を含む学校徴収金の公会計化による徴収業務の移管は、小・中学校などにとって意外と大きな効果があるかもしれない。文科省は会計業務のガイドラインを策定し、平成30年度から取り組むとしている。

部活動についても29年度中に部活動指導員の配置促進とガイドラインの策定をし、30年度から本格的に負担軽減の取り組みを始めるというスケジュールを示している。

■もっと力強い負担軽減策を

しかし、これらの方策が本当に教職員の負担軽減につながるのかは不透明と言わざるを得ない。部活動見直しは一定の成果を上げるかもしれないが、実際には「部活指導が好き」という教員も少なくない。

また肝心の長時間労働の是正では、「勤務時間改善に関する優良表彰制度」の創設や全国キャンペーンの展開などくらいしか具体策が盛り込まれていない。そもそも「教職員が本来の労働時間で退校することを理想の姿として目指し」と報告書は述べているが、これは裏を返せば、本来の労働時間が「理想」でしかないのを自ら認めたようなものだ。

馳浩文科相は「教育の強靱化に向けて」のメッセージの中で、次期学習指導要領では教育内容を削減しないと強調した。だが現行の教育内容に加えて、小学校では英語の教科化、プログラミング教育の必修化などが行われる予定だ。教職員は、どうすればよいのだろうか。

今後、「チーム学校」も「地域とともにある学校」も不可欠だろう。だとすれば、もっと力強い教職員業務の負担軽減策が必要なのではないだろうか。

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