(本紙編集局はこう読む 深掘り 教育ニュース) 学習評価の議論がスタート

次期要領の実践の成果を測る

中教審教育課程部会は10月16日、「学習評価に関するワーキンググループ」を設け、初会合を開催した(本誌10月23日付既報)。ワーキンググループ(WG)は来年秋ごろをめどに報告をまとめ、それを基に文科省は「指導要録」(参考様式)を公表することになる。学習評価の議論は、学校現場にどのような影響を及ぼすのだろうか。

■決して高くない現場の関心

学習指導要領に比べ、学習評価に関する学校現場の関心は決して高いとはいえない。これは仕方ない面もあるが、今回の学習評価の議論が、学校現場に大きな影響を及ぼすのは確実だ。

学習評価は、学習指導要領が変わるたびに変更されてきた。学習指導要領が告示されると、学習評価改善の協力者会議が設置され、改訂からほぼ1年後に報告がまとめられる。それを受けて文科省は、指導要録のひな型となる「参考様式」を通知。各教委は、それぞれ指導要録の書式や評価基準を改正し、学校現場はそれに沿って指導要録と通知表を作成するという流れになる。

つまり今回のWGの議論は、次期学習指導要領の下で、学校はどのような通知表を作成すべきか、という議論をしているといえる。

これまでの学習評価に関する出来事を見ると、「観点別評価」の新設、小・中の「評定」の相対評価から絶対評価への切り替えなどが記憶に新しい。

だが学校現場では、「評定」がどう変わるかが最大の関心事であり、特に中学校や高校は、「観点別評価」や「所見」などには大きな関心はあまりないというのが実情だろう。

■テーマは「通知表にどう書くか」

しかし、今回の学習指導要領改訂は、「何を覚えたか」と同時に、「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」が重視されている。従来のように観点別評価は「おまけ」で、定期考査などのペーパーテストで評価して、「評定」をつけるだけでは済まされない。その意味で、「多面的で多角的な評価」が、教員には求められるのは間違いない。通常の教育活動を、どのような視点で、どう評価し、それを指導要録や通知表にどう書き込むかが、WGの議論の大きなテーマとなる。

言い換えれば、現在、記述式になっている総合的な学習の時間の評価が教科にも適用され、さらにそれを数値で「評定」した上で、その評価基準や評価の過程なども明確にすることが求められているといえば、どれほど大変になるのか分かるだろう。

また中学校は高校入試、高校は2020年度からの思考力重視の大学入試改革と関連して、内申書(調査書)の在り方や記述方法も変更を迫られる。

■切り離せない指導と評価

思考力・判断力・表現力などの評価では、学習の成果物や学習過程などの詳細な記録を基に判断するパフォーマンス評価が有効であるとされている。WGでも中心的課題となろう。

しかし問題は、学習評価に対する教員の負担増だ。パフォーマンス評価には、大きな労力が必要となり、まともに実施すれば、ただでさえ問題となっている教員の長時間労働に拍車を掛けることになりかねない。学習評価と教員の「働き方改革」のバランスをどう取るのかも、WGの大きな課題の一つとなるだろう。

「評価なくして指導なし」とはよく言われるが、覚えた知識の量だけでなく、それを実生活の中でどう活用できるか、思考力・判断力・表現力をどう身に付けたかなどが、次期学習指導要領では問われる。

アクティブ・ラーニングなど指導方法の改善に対する学校現場の関心は高いものの、指導方法改善が、本当に効果を上げているかどうかを確かめるには学習評価が不可欠なのである。また学習評価なしでは、次期学習指導要領の柱となる「カリキュラム・マネジメント」のPDCAサイクルを回すこともできない。学校現場は、学習評価の改善なしでは、本当の意味で、次期学習指導要領の実施はできないと認識するべきである。

ただ残念なのは、学習評価に関する文科省のスピード感だ。次期学習指導要領の審議では、中教審への諮問当時から、学習評価は一体的な課題として議論されてきた。これは、従来にはなかったことであり、学習指導要領とほぼ同時に、指導要録の参考様式も公開されるとの見方もあった。結局、従来通り(より遅い)のスケジュールとなった。このことで学校現場が、学習指導と学習評価を切り離して考えるようにならないければよいのだが。

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