(本紙編集局はこう読む 深掘り 教育ニュース) 働き方改革中間まとめ 核心はどこか?

妹尾写真教育新聞特任解説委員 妹尾 昌俊(教育研究家、中教審委員)

■時間上限の目安を設定する意味

11月28日の中教審「学校における働き方改革特別部会」(第8回)において、審議内容の中間まとめ案が出た。今は案の段階であり(今月にもまとまる予定)、確定的なことを言うことはできないし、また、私の個人的な見解となるが、審議に深く関わった者の一人として、いくつかポイントをお伝えしたい。

報道等で紹介されたように、「勤務時間に関する数値で示した上限の目安を含むガイドラインを早急に検討して示すべきである」との内容が盛り込まれている。政府全体の働き方改革の主眼は、労働基準法を改正して時間外労働時間に上限規制をかけることにある。

今回の中教審の案の記述は、この動きをにらんでのことだが、学校教育としては、この50年近くの慣行を大きく変え得るものだ。

というのも、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)により、小・中・高の教員には、原則として、時間外勤務は命じないものとなっている。そして、時間外勤務を命じることができるのは、いわゆる超勤4項目に該当し、かつ臨時または緊急のやむを得ない必要があるときだけである。

給特法ができたのが1971年。しかし、このような規制があるにもかかわらず、現実には非常に多くの教員が過労死ラインを超えるほど働いている。

そもそも、超勤4項目などを知らずに残業している教員も多い。例えば、部活動指導やテストの作問・採点は超勤4項目に該当しないのだが、勤務時間内に終えられるのはまれであろう。現状では、こうした教員の頑張りは、校長としては命じていないものであり、各教師の自発的な行為だと見なされかねない。趣味でなく、学校の仕事をしているのに!

このように、建て前と実態に大きな乖離(かいり)があるまま、およそ半世紀が経過した。勤務時間の上限の目安を設定するというのは、この問題を避けては議論できない。

では、どうするべきか。中教審でも結論は出ておらず、今後も審議を続けることとなっている。だから「中間」まとめなのだ。

■教員の仕事量を減らす

法規制をどうするかは大変重要な課題である。しかしだ。いくら時間外労働の上限目標が決まったとしても、あるいは給特法等の法制度が多少変わったとしても、教員の仕事量が減らなければ、上限ぎりぎりまで仕事をする人や、サービス残業する人が日本中で発生するであろう。

同時にやらなければならないのは、教員の仕事量を減らすことである。いわば、日本の学校には、ダイエットの目標設定と共に、食べるのをガマンするなどの活動も必要なのだ。

ダイエット活動として、3つの観点で交通整理して考えるとよい。

1点目は、学校の業務としてどこまで担うのかということ。日本の教員は授業以外にもさまざまなことで児童生徒と向き合っている。今回の中間まとめ案では、「このような児童生徒の『全人格的』な完成を目指す教育を実施する『日本型学校教育』の取り組みは、国際的に見ても高く評価されている」と述べているが、教員のマルチタスクが長時間労働の大きな背景ともなっている。

そこで、中間まとめ案では、「(1)登下校に関する対応(2)放課後から夜間などにおける見回り、児童生徒が補導された時の対応(3)学校徴収金の徴収・管理(4)地域ボランティアとの連絡調整については、基本的には『学校以外が担うべき業務』」としている。つまり、基本的には、学校の仕事から手放し、教育委員会や地域が担っていくべきという趣旨だ。

2点目は、学校の業務だとしても、教員が担うべきかどうかの検討だ。中間まとめ案では「(5)調査・統計等への回答等(6)児童生徒の休み時間における対応(7)校内清掃(8)部活動については、学校の業務であるものの、必ずしも教師が担わなければならない業務ではない」と述べている。

以上2点は、いわば「引き算」の発想である。おそらく、中教審が「この業務は、学校や教師が必ずしもやならなくてもよい」と述べたのは、初めてではないだろうか? 従来は、○○教育を増やしては「あれもやれ、これもやれ」とばかり言ってきたのに!

3点目は、教師の業務だとしても、やり方を見直すことである。

紙幅が尽きたので、詳細は次回とする。

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