多忙化解消―部活動改革を軸に 移行に向けたグランドデザインの策定を

〈展望2018(2)〉
2・細谷教育新聞論説委員 細谷 美明

初日の出を仰ぎ、自分の家族、そして自分が担当する子供たちの成長と無事を願いながら新たな年を迎えた先生方も多いだろう。あるいは、新年早々、部活動指導のために家を空ける先生もいるかもしれない。

■業務の役割分担と適正化

暮れも押し迫った昨年の12月22日、中教審は「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」(以下、「中間まとめ」)を発表した。これは、8月30日に同じく中教審が出した「学校における働き方改革に係る緊急提言」を受けての取りまとめである。この「中間まとめ」について、部活動改革を中心に私見を述べてみたい。

「中間まとめ」では、2016年度の教員勤務実態調査結果と10年前の数値との比較で、全校種での勤務時間の増加が判明。その要因のうち部活動関係については、業務改善は行ってきたが結果的に授業や部活動の業務時間が増加したこと、教員一人一人の授業持ち時数を減らす観点での教職員定数改善が行われなかったこと、1997年に当時の文部省が出した「休養日等の設定例」(「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」)の周知徹底がなされていないことを挙げている。

その上で、働き方改革の基本的考え方として、教員が本来担うべき業務とそうでない業務を整理し、教員が直接しなくともよい業務はそれ以外の者が行うという当該業務の役割分担と適正化を打ち出している。

■部活動は学校教育から切り離されるのか

この考え方に基づき、部活動については以下の提案を行っている。

「部活動指導員をはじめとした外部人材の活用と大会への生徒引率を可能にするための関連規定の改正などの条件整備」「小規模化により部活動運営に困難を生じている学校に対し指導ができる教員の適正配置や合同部活動、総合型地域スポーツクラブとの連携」「運動部活動の在り方に関する新たなガイドラインによる部活動の活動時間や休養日の設定に対する保護者への理解」などである。

最後に、「地域で部活動に変わり得る質の高い活動の機会を確保できる十分な体制を整える取組を進め、環境が整った上で、部活動を学校単位の取組から地域単位の取組にし、学校以外が担うことも積極的に進めるべきである」と今後の部活動の将来像について触れている。

つまり、国は将来、部活動を社会教育の一環とすることを選択肢の一つとして打ち出したのである。

仮にこの提案が実現すれば、将来的に学校教育から部活動は切り離され、その分、教員の負担軽減が図られることになる。また、スポーツ審議会が昨年3月に出した「第2期スポーツ基本計画について(答申)」にある、国が自治体や日本体育協会、中央競技団体と連携し、指導者育成制度を構築し指導者がフルタイムでスポーツ指導に従事できるような「職」としてのスポーツ指導者の確立を目指した構想にも合致する。

■学校側の総意は円滑に形成されるか

では、その実現の可能性はどうであろうか。一番の懸念は、これまでの教員に代わる部活動指導者の確保である。

平日の週5日間で午後4時から6時まで、場合によっては土・日曜日にも勤務できる人材の絶対数が、現在学校に存在する部活動の数に対応できるのか。また、部活動を受け入れる側の地域社会の体制はどうなのか。多感な年頃の中高生である。

指導者が日によって、あるいは時期によって変わるなど、生徒に不安を与えないよう指導者の定期的な派遣の問題や、一人の指導者に任せきりにさせない集団指導体制の構築も喫緊の課題となろう。さらにこれまで部活動の大会運営を担ってきた日本中学校体育連盟や全国高等学校体育連盟に代わる組織の設置と運営の問題など、過去の部活動指導におけるいくつもの問題点の解決も含め、学校から地域社会への円滑な移行に向けたグランドデザインの策定が必須であろう。

それに伴い、法整備のほか、文科省も含めた関係組織の改編も視野に入れていかなければならない。

それ以上に懸念されるのが学校である。部活動を学校教育から切り離すという国の考えに対し、中学校や高校など学校側の総意は円滑に形成されていくのだろうか。

今年は、中間まとめが示すように、全ての関係者がそれぞれの課題意識をしっかりと認識しながら、オールジャパン体制で改革に向けた取り組みを実行するために動き出す年となることを期待したい。

(元全日本中学校長会長)
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