移行期間になすべきこと ビジョンの提示とリーダーシップで

〈展望2018(1)〉
1・寺崎教育新聞論説委員 寺崎 千秋

小学校は2020年3月、中学校は21年3月までの移行期間において、各学校は、「小学校及び中学校の学習指導要領等に関する移行措置並びに移行期間中における学習指導等について(通知)」(17年7月7日、文科省)等に基づきながら、特に以下の点について学校を挙げて家庭・地域と共に確実に取り組まなくてはならない。

■移行措置の確認と完全実施

通知には小学校等、中学校等の移行期間中の教育課程について、授業時数、総則、教科等ごとの特例の概要、各教科等の学習指導上の留意事項、移行期間中における学習評価の扱いなどが示されている。

これらを正確に把握し、確実に移行を実施することが求められている。抜けや漏れがあれば、不利益を被るのは子供である。趣旨や内容を全教職員が共通理解し、確実に移行が行われるようにする。

■新教育課程の編成・新指導計画などの作成

移行措置に入る18年度には、小学校で「特別の教科 道徳」を要とする道徳教育、総合的な学習の時間、特別活動が全面実施、中学校では総合的な学習の時間と特別活動が全面実施となる。

そのため学校教育目標の見直し、教育課程の編成、全体計画作成、指導計画作成は今年度中に行わなくてはならない。

中学校の道徳教育は19年度全面実施(先行実施は可能)で18年度中に教育課程の編成などを行う。教科によっては先行実施が可能なものもあり、学校としてどうするかを決めて取り組む。

教育課程の編成、指導計画の作成等に当たっては、資質・能力の三つの柱の育成はもちろんのこと、学習の基盤となる資質・能力や現代的な課題に対応して求められる資質・能力の育成を踏まえ、教科横断的な視点で行う。教育内容と学校内外の教育資源とを効果的に組み合わせての活用も重要だ。

教育課程の編成、指導計画などの作成の作業を円滑に進めるための組織を編成し、工程表を作成して、学校長を中心に全教職員、さらには保護者や地域の人々の参画も得て協力・連携し、編成作業などを意図的、組織的、計画的に行うようにする。

■主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善

新教育課程の全面実施は、授業によって行われてこそ「完全実施」となる。移行期間中では、現行学習指導要領による教育課程であっても、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」のバランスのよい育成を目指す新学習指導要領の趣旨を十分に踏まえて指導する。

さらに、「生きる力」をより具体化し、教育課程全体を通して育成する資質・能力の三つの柱を確実に育むために、「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」が重視されている。

今後、全ての学校・教員がこれらの学びの実現に向け創意工夫し、子供の学びが深まる授業ができるようにしていきたい。移行期間中にこれに向けた研修を、学校を挙げて取り組み、授業力を向上できるようにする。

■条件整備および働き方改革との連動

学校・教員の新教育課程の編成・実施に向けた創意工夫や努力、指導体制の確立、カリキュラム・マネジメントの充実が求められるとともに、これを援護すべき条件整備や働き方改革も進められている。

これらを視野に入れて、職務の合理化や勤務の在り方について、学校として自助努力すべき内容を明らかにして取り組むようにする。

■保護者・地域の人々への広報・説明と連携・協働

新教育課程の編成・実施、そのためのチームとしての学校づくり、カリキュラム・マネジメントの充実などにおいて、学校のみならず家庭や地域との連携・協働が求められている。

確実に行うためには、新教育課程の趣旨や学校としての考え方・取り組み方などを繰り返し説明し、広報して理解を深め、家庭・地域と一体となって教育を進めていく。

このように移行期間中になすべきことは多々ある。新教育課程に基づく新しい学校づくり、新たな学校文化の創造を出発させ、これを実現する校長のビジョンの提示とリーダーシップの発揮が求められており、その期待にぜひ応えてもらいたい。

(元全国連合小学校長会長)
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