学校の働き方改革 本気度を高めて実行する年に

〈展望2018(5)〉
2・妹尾教育新聞特任解説委員 妹尾 昌俊

■流行語にとどめるな!

教育業界の流行語大賞があるとすれば、2016年は「アクティブ・ラーニング」、17年は「働き方改革」だったのではないか。どちらも多義的な言葉で、都合のよいように使われることもあるが、私は両方とも、一過性のものにしてはいけない、と強く思う。

18年の展望を考えるために、17年を振り返ってみよう。教員勤務実態調査が公表され、小・中学校の過労死ラインを超えるほどの多忙の実態が白日の下にさらされた。中教審でも学校の働き方改革が再三議論になり、8月末には緊急提言が、12月には中間まとめが出た。

間違いなく、国の気運は高まっている。教育委員会の一部でも本格的な検討を進めるところも出てきた。しかし、当の学校現場や、他の教育委員会ではどうだろうか?

■やるか、やらないか、それが問題だ

教育委員会や学校において取り組むべきアクションアイテム(やるべきこと)は、17年までの検討でかなり出そろったわけだ。問題は、やるか、やらないかである。

つまり、18年の展望を一言で示すならば、学校の働き方改革を実行するか、しないかの一年といえるであろう。

例えば、緊急提言の段階で、タイムカードなどによる客観的な勤務時間の把握、留守番電話により夜間・早朝の対応を軽減してもよいことなどは示された。また、中間まとめでは、登下校指導、給食費や学校徴収金の事務、清掃指導、部活動などは、教員の手から離すことも検討せよ、となっている。

しかし、予算がない、検討する時間的余裕もないなど、もっともらしい言い訳を並べては、アクションに移すことに躊躇している学校も多い。

もちろん、昨今、「○○改革」があふれており、教育委員会も学校も、改革疲れともいえる状況がある。働き方改革の名の下に、かえって大きな負担を強いたり、やった振りだけするような形骸化した取り組みを増やしたりするのでは、本末転倒である。

しかしながら、中教審の中間まとめ等を読むと分かるが、各学校や教育委員会で判断し、取捨選択してよいことも多いのである。

例えば、運動会の準備に何時間かけるのか、清掃の時間を毎日設けるのか、どのような部活動を設けるのか、廃止するのか。これらは、学習指導要領や文科省の指導・通知等ではほとんど縛っていない。各学校長の裁量で決められることだ。

■18年3月までにやるべき2つのこと

では、この1~3カ月の間に、つまり年度を越えないうちにやっておくべきことを整理しておこう。

第一は、「Why働き方改革?」という点を、教職員でよく共有しておくことである。文科省や中教審が言っている、県教委から指導がある、新学習指導要領にしっかり対応していく、こうした理由では、おそらく、多くの教職員のやる気は高まらない。みんな悪気があって長時間残業しているわけでないのだ。子供たちのためを思って、よかれと思ってやっているのだし。

だからこそ、今のままの長時間労働だと、体を壊しかねないし、見聞を広めたり自己研鑽したりする時間も犠牲になりやすい。実は子供たちのためにならない影響もあるよ、ということを、管理職などは粘り強く教職員に語ってほしい。

第二は、次年度のカリキュラムや学校経営計画を検討する際に、働き方改革や業務改善の視点を大きく盛り込むことである。具体的には、次の3点を教職員の参画も得ながら、しっかり検討してほしい。

(1)21世紀を生き抜く子供たちに必要な力(資質・能力)は何か

(2)そのためには、どのような教育活動の充実が必要か

(3)(1)と(2)を実現するためにも、減らしたり、やめたりするもの、優先度を下げていくべきものは何か

よく私は樹木のたとえで説明している。

・どんな果実や花を咲かせたいですか?((1))

・そのためにもっと太くしたい、伸ばしたい幹は何ですか?((2))

・枝葉で切り落としたり、くっつけたりできることはないですか?((3))

ある副校長は「学校はベルトコンベヤーのようなものだ」と言っていた。つまり、いったん始まってしまうと、次々とさまざまな教育活動がやってくる。目の前のことをこなすことだけでも手いっぱいになる。

だからこそだ。年度末も十分忙しいのは承知しているが、(1)~(3)のことを練っておく必要があるのだ。日本中で大きな木が育つ18年であってほしい。

(教育研究家、中教審委員)
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