働き方改革とチーム学校 人の配置に合わせ、学校の改革を

〈展望2018(7)〉
3藤川千葉大学教育学部副学部長・教授 藤川 大祐

■サポートスタッフは負担軽減になるか

2017年8月、中教審の学校における働き方改革特別部会が緊急提言を出すなど、学校における働き方改革が注目を集めている。日本の学校教員の実労働時間が長いことはこれまでも問題となっていたが、ようやく本格的な対応が始まった。

具体策として、教員がタイムカードで出退勤時刻を記録することなどによって「勤務時間」を意識することや、校務支援システムの充実に加え、「チーム学校」として教員以外のスタッフを拡充することが提言されている。文部科学省の概算要求には、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクール・サポート・スタッフ、部活動指導員などの配置が盛り込まれている。

各種調査によれば、日本の教員の勤務時間を長くしている主な原因は、生徒指導や保護者への対応、事務作業、そして部活動指導である。これらに関して教員の負担軽減を図らなければ、働き方改革は進まない。

■任せられる仕事は限定的か

では、「チーム学校」として教員以外のスタッフを充実させることは、働き方改革にどのように寄与するのであろうか。

まず、生徒指導等について。スクールカウンセラーなどの拡充は、生徒指導の充実に間違いなくプラスであろう。だが、こうしたスタッフの拡充が教員の業務時間の軽減に直接つながるかどうかについては、慎重に見ていく必要がある。というのは、いじめ、不登校などの生徒指導上の課題が生じた場合、教員とスクールカウンセラーなどのスタッフは協働して対応するのであり、教員の負担が減るというより、より適切な対応が可能となると考えるべきであろう。

次に、事務作業である。各種調査への対応、会議資料の作成、配布物の印刷、研修への対応、給食費や教材費の管理などに加え、校務分掌に関する業務など、事務作業といってもその業務内容は多岐にわたる。スクール・サポート・スタッフが配置されれば、単純な作業を中心に仕事を頼むことができるので、その分、教員の負担は軽減できるであろうが、教員資格のないスタッフにどこまで任せられるか不明確な場合が多いと考えられ、現状では任せられる仕事は限定されるのではないか。

そして、部活動指導である。これは特に中学・高校が該当する。部活動指導を担当している教員の多くは、放課後や土日に多くの時間を使っており、多忙化の要因となっている。部活動は課外活動であるにもかかわらず、正課の授業以上に重要な指導の機会と考えられがちである。このため、正課の授業を重視すべきだと考える教員には特に、部活動の負担感は大きい。部活動指導員の配置には大いに期待したいが、部活動指導員がどこまで生徒への指導に責任を持てるのかが不明であることから、部活動指導員の配置がどこまで教員の負担軽減につながるかはまだ分からない。

結局、「チーム学校」として教員以外のスタッフを拡充したとしても、単純に教員の負担軽減につながると考えることはできない。しかも、当面は予算の制約などから、教員以外のスタッフが潤沢に配置されるとは考えにくい。

■分業や協業を基盤とする体制を

だが、それでも教員以外のスタッフの配置は、学校の状況を変えるための千載一遇のチャンスである。新たなスタッフを拡充することに加えて、そうしたスタッフの力が最大限生かされるような体制を構築する必要がある。

例えば、生徒指導に関しては、いじめや不登校といった問題が発生してから対応するのでは負担が大きいままなので、スクールカウンセラーなどを活用して未然防止を充実させるべきである。すなわち、スクールカウンセラーが中心となって、児童生徒、さらには保護者や教職員が適切に人間関係をつくりストレスマネジメントができるよう、授業や研修の機会を設けるなどすれば、中長期的には問題発生の防止につながり、教職員の負担を減らすことにもなる。

事務作業や部活動指導に関しては、スタッフが必要な研修を受け、一定の契約の下で個人情報を扱ったり引率をしたりできるよう、制度設計を進める必要がある。教員には教員以外の人に仕事を任せられないという感覚が強いが、そうではなく、どうすれば任せられるのかを検討するのである。

分業や協業を基盤とする体制をどう構築できるか、18年の学校現場は問われている。