(本紙編集局はこう読む 深掘り 教育ニュース) 学校の働き方改革

特任解説委員 妹尾教育新聞特任解説委員 妹尾 昌俊(教育研究家、中教審委員)

今が見直しの好機
■働き方改革、3点の検討

前回(昨年12月)の記事で、学校の働き方改革をめぐっては、3つに交通整理して考えることを提案した。

1点目は、学校の業務としてどこまで担うのかということ。2点目は、学校の業務だとしても、教員が担うべきかどうかを検討すること。3点目は、教員の業務だとしても、やり方を見直すことである。

先月末にまとまった中教審の中間まとめや文科省の緊急対策についても、こうした頭の整理をしながら、眺めてみるとよい。

一例を挙げれば、文科省は、スクールカウンセラーやスクール・サポート・スタッフ、部活動指導員の配置を促進する構えだ。これは主に2点目に関連する施策であり、教員以外のスタッフにお願いできることは、任せようとする動きである。

とはいえ、仕事というものはそう簡単に手離れするものではない。教員以外のスタッフの予算も、人手も、力量にも限りがあるのだから、なおさらである。例えば、部活動指導員として毎日のように活動してくれるだけでなく、生徒指導上もかなりよい働きをしてくれるような人材は稀有であろう。そうなると、部活指導という業務自体の在り方や方法を見直さない限り、教員の仕事は残る。

こうなると、3点目の視点で述べたように、教員の業務の効率性や生産性を高めていくことも重要――ということとなる。

■もっと人をくれという気持ちは分かるが

多忙化対策として、現場の先生や教育行政の関係者、あるいは研究者の一部も、ほぼ同じことを言う。それは「もっと教師の数を増やせ」ということである。これについて私も必要だと強く思うが、世の中の論調には多少違和感もある。何がモヤモヤするかといえば、それは、教員自身の仕事の効率性や生産性は十分高いだろうか、その努力も定数改善などと同時に(あるいは前に)もっと必要ではないか――ということである。

「学校現場にもっと頑張れと言うのは酷です。既に改善できることはやっていますよ」という言葉もよく聞く。その気持ちも分かる。だが、学校はもう改善の余地はない、絞り切った雑巾のようなものか、と言われれば、そうとも言えないとも感じる。

例えば、大阪市の小・中学校では、校務支援システムの導入により、従来、二度手間、三度手間を掛けていた入力作業などを省いたところ、教頭1人当たり年間229.8時間、クラス担任1人当たり年間224.1時間の短縮になったという。それぞれ1日当たり約1時間だ。北海道の石狩地方の小・中学校でも、クラウド上で利用できる民間ソフトウエアの導入で、1日当たり約29分の短縮になったらしい。

こうした削減効果はもっと厳密に検証する必要があるとは思うし、ICTだけが業務改善の決め手というわけでもないと思うが、学校現場にも何らかの改善余地と、それなりの効果が表れる可能性はまだまだ少なくない、ということを示す例のひとつといえると思う。

■カリキュラム等を検討する今が好機

教員が担う業務について、その在り方や方法を見直すのは、今、1月、2月がチャンスである。4月になってしまうと、児童生徒も教職員も新体制で、慌てふためくうちに、学校ではベルトコンベヤーのごとく、次々と行事等が押し寄せてくる。働き方改革や業務改善に本格着手するのは、次年度のカリキュラム等を検討する今を置いて、他にはない。

視点のひとつとして、教員が多くの時間をかけているものに注目してみよう。

例えば、小学校で授業準備に時間がかかる。それはなぜなのか、もっと限られた時間で効果を高める術はないか。一例として、いくつかの教科をクラス担任制ではなく、交換して一人当たりの持ち教科数を減らしたり、これまで作った教材を手軽に共有できるような工夫を増やしたりする、校内研修では指導案の検討ばかりせずに授業準備の方法について協議する場とするなど、いろいろな改善策が思い付く。

例年と同じような反省を来年度も繰り返すのはやめたい。この時期も、学校や教育委員会は十分過ぎるくらい忙しいとは思うが、今こそ踏み出してほしい。