免許外教科担任の許可縮小が本筋 教職員定数改善を前提に

教育新聞論説委員 細谷 美明

文科省は、免許外教科担任制度の見直しに着手することとなり、1月15日、第1回の会議を開催した。免許外教科担任制度とは、離島や山村などにある中学校や高等学校などで教科を担当する教員がいない、または不足している場合、同じ学校に在籍する他教科の教員が1年間に限って免許外の教科を担当できる制度で、学校が都道府県教委に申請するものだ。

わが国の教育には教育の機会均等と教育水準の維持を目的に、いわゆる「相当免許状主義」といった基本的考えがある。その意味でこれまで文科省は、免許外教科担任はあくまでも特例措置として安易な許可をしないよう各教委に求めてきた。

しかし、最近では許可件数の総数が減少にある一方で、少人数指導や特別支援など社会状況の変化、教員の業務の多様化・多忙化に伴い、これまでとは違う理由での免許外教科担任を認めるケースが増えている。許可件数の地域格差も顕著だ。同制度を運用する教委の立場からは、各自治体の実態に弾力的に対応できる基準の設置を求めることは当然であろう。

今回の制度見直しの背景には、昨年5月、内閣府の規制改革推進会議が公表した「規制改革推進に関する第1次答申」の中の、「免許外教科担任の縮小に向けた方策」が関連している。同方策では免許外教科担任制度が教育水準を低下させ、教員の負担増につながるということで、ICTによる遠隔授業の推進や教員研修の充実を提言している。また、免許外教科担任の許可の縮小を前提に、現状の把握および許可を行う場合の考え方や留意事項を検討・整理することを示唆している。

ICTによる遠隔授業については、すでに文科省においてその実証事業が2015~17年度にわたり行われたが、これまでの推進校の取り組みでは、大規模校と小規模校との双方向型の合同授業が主流となっている。

成果としては学習効果の向上、人間関係の広がり、教員の授業力向上などが挙げられており、へき地などへの対策としては、今後有効な方策と考えられる。

しかし、この成果をもって即座に免許外教科担任の許可を規制することには、配慮が必要だろう。なぜなら、授業の準備に時間がかかるほか、配信を受ける学校の子供の状況把握がしづらく、きめ細かい指導が困難になる可能性もある。配信中に落ち着かない子供の指導に付きっきりになる教員が必要になるなど、教員の負担についての新たな課題も発生し、免許外の教員数の事実上の削減が実現することで、かえって自治体や当該校が苦境に立たされる不安もあるのだ。

さらに内閣府や財務省がこうした成果面だけを強調し、文科省の悲願である教職員定数改善を阻止することも考えられる。

各自治体の努力に期待するほかないが、文科省は免許外教科担任の申請をせざるを得ない学校の事情も十分配慮すべきだ。免許所有者の絶対数が不足する教科・科目の教員の育成・確保、教員の業務の多様化・多忙化の解消、そして現在の教職員定数改善を前提とした免許外教科担任の許可の縮小を進めていくことが、本筋ではないだろうか。

(元全日本中学校長会長)