(本紙編集局はこう読む 深掘り 教育ニュース) 第3期「教育振興基本計画」を答申

国民の期待に応える計画策定と実施を

中教審は3月8日、第3期の「教育振興基本計画」を答申したが、残念ながら、本紙を除きこれを報じたマスコミはほとんどない。一般の人々はもちろん、教育関係者でさえ、答申が出たのを知らない人の方が多いだろう。つまり、教育振興基本計画がその程度の存在であるのが実情だ。

同計画は、改正教育基本法の第17条に新たに盛り込まれたものだ。同条は政府に、「教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項」に関する基本計画の策定を義務付けている。

教育基本法の改正は、第1次安倍内閣によって行われたが、文部省(当時)は当初、改正に積極的ではなかった。その中で浮上したのが、同計画の策定を政府に義務付ける案だった。政府が将来的に実施すべき施策を基本計画として示すことで、教育財源の安定的確保につながると踏んだ文部省は、教育基本法の改正に向け動き出した。

その後、政府は同計画を策定したものの、その結果は現在の通りだ。

また同計画は、今後10年間の目指すべき教育の姿を示した上で、先の5年間で取り組むべき施策を並べている。教育政策の目標と共に、その進捗状況を測る「測定指標」や「参考指標」を明示して、取り組むべき施策を挙げるという、PDCAサイクルの手法を取っているのが特徴だ。

■教職員定数の中期的見通しの策定促す

中教審答申を受けて、政府は今後、これから第3期(18~22年度)の基本計画を策定することになる。

計画の基となる中教審答申は、「2030年以降」の社会を見据えて、少子高齢化による「人生100年時代」の到来や、経済活動のグローバル化の進展、AIの発達などによる情報化の進展に伴う課題を挙げ、日本の社会を維持・発展させる教育の役割と重要性を強調している。

また、ここでは教育投資の在り方、方向性にも触れられているが、第2次基本計画の内容を踏襲している箇所も多く、やや「玉虫色」のきらいもある。一方で、「予算の裏付けのある教職員定数の中期的見通しを策定し、専門スタッフ・外部人材の活用などを推進すること等も通じて、『チーム学校』を実現していくことが必要である」と述べている。文面からは増員されるのが教員なのか、それとも専門スタッフなのか判然としないが、中教審としては踏み込んだ表現といえるだろう。第3期基本計画でも、「教職員定数の中期的見通し」の策定が、きちんと盛り込まれることを期待したい。

他方、気になるのが、教育財源確保と教育無償化の関係だ。答申は、安倍内閣が憲法改正とセットにしている幼児教育の無償化、低所得層の高等教育の費用負担軽減など、政府の「人づくり革命」の政策パッケージの着実な実施を求めている。ただ、教育無償化の実現が、すなわち教育財源の増加であると受け取られかねない。教育投資における教育施策の財源確保と、家庭の教育費負担の軽減を柱とする教育無償化との関係は、第3期基本計画においても慎重な線引きが必要と思われる。

■持続可能な学校指導体制の整備を打ち出す

また答申は、「今後5年間の教育政策の目標と施策群」を示している。目標に合わせて「測定指標」「参考指標」を例示し、目標の実現に必要な施策を並べた。第3期基本計画の答申は、第2期基本計画に比べ、政策目標などがより分かりやすく整理されており、各学校段階や生涯教育ごとに施策がまとめられている。

ただ、「測定指標」や「参考指標」などを見ると、教育行政の成果の検証がいかに難しいか感じざるを得ない。例えば、「夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」の中の目標(2)「豊かな心の育成」では、測定指標が「自分にはよいところがあると思う児童生徒の割合の改善」となっている。

注目されるのは教育政策に関する基本的な方針の中に「教育政策推進のための基盤を整備する」が盛り込まれた点だ。その目標には「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導体制の整備」を打ち出した。しかしながら、測定指標は「小中学校の教諭の1週間当たりの学内総勤務時間の短縮」にとどまり、明確な数値目標も具体的な施策内容も示しておらず、迫力不足と言わざるを得ない。

いずれにしろ基本計画は、実行されなければ意味がない。国民の関心を集め、期待に応える基本計画の策定と、その着実な実施を政府に求める。