教師の五月病 油断できない理由

妹尾写真教育新聞特任解説委員 妹尾昌俊(教育研究家、中教審委員)

 ■教師にとっての五月病の意味

ゴールデンウイークが終わった。学校関係のみなさんも、日ごろの忙しさから少しは離れることができただろうか。私は近所の海で遊んで(SUPというボードに乗ってこぐ)、隣の市の温泉に行ってきた。うちの小学生の子供たちも、カニや魚を取ってりして、はしゃいでいた。

ゴールデンウイークが終わると、また怒濤(どとう)の日々という方も多いと思う。そんな中、よく聞くのが「五月病」だ。この時期に憂鬱(ゆううつ)になったり、出勤したくなくなる人が多いことを指す。

前回、新任教員のケアは大丈夫かという内容を書いたが、学校でも五月病は油断できない。

和井田節子・共栄大学教授が2009年から10年に、1年半以上にわたって小学校の新任教員22人に、延べ28回ヒアリングした結果が参考になる(「新任教員の適応および初任者研修に関する研究」)。そこでは、次のような声が紹介されている。

〇授業が本格的になり、準備が追い付かず大変だった。
〇子供たちも自分を出してぶつかってくるようになった。
〇初任者研修では、毎週の授業案づくりに追われた。
〇周囲の教員が忙しそうで、尋ねられない。
〇指導教員との関係に悩む。

和井田さんは、採用されてから1カ月以降の5月、6月が、新任教員にとって最も困難感が高まり、精神的に危機に陥りやすい時期と分析している。

■若手、女性、長時間労働、部活に自信ない教員は特に高ストレス

この時期に限ったことではないが、いくつかのデータから、教員のストレスは高いことが分かっている。

筑波大学が国の教員勤務実態調査(2016年度)を基に分析したところ、小・中学校の教諭では、抑うつ、不安を評価するK6という指標が、学校以外の教育・研究職の人よりも高く、かつ高いストレス状態にあることが確認できた(「教員のストレス状況に関する分析について」、中教審資料)。

もう少し細かく見ると、この研究では、次の特徴が見いだせた。

(1)若い教員ほど高ストレス
小・中とも年齢層が若いほど、ストレスが高い傾向がある。特に20代は高い値を示す。

なぜそうなるのかについては、厳密には検証できていないが、若い年齢層ほどSOCというストレス耐性の値も低い傾向にあることも分かった。

SOCは人生に対する首尾一貫した感覚を評価する指標で、なんとかやってのけられると感じる能力や、直面した出来事に意味を見いだせる能力を指す。若い人ほど、保護者対応や学級づくりに慣れていないこともあって、自信を持ちにくかったり、仕事に意味を見いだしにくいのかもしれない。

また、若い年齢層ほど長時間労働であるのも、教員勤務実態調査などで明らかである。仕事の負荷が重いため、ストレスが高くなっている可能性もある。

(2)女性教員のほうが高ストレス
女性の方がストレス値は高い。とりわけ中学校の20代女性教諭の場合、K6得点は7・1(20代男性は5・8)という非常に高い値だ。

(3)勤務時間が長いほど高ストレス
勤務時間が長いほど、ストレスが高い傾向がある。例外的なのは、中学校男性教諭の場合なのだが、これは後に述べる部活動も影響していると思われる。

(4)部活指導に自信のない人は高ストレス
部活動指導に必要な技能を備えているか聞いたところ、中学校男性教諭の場合は、「全く備えていない」「あまり備えていない」という人は、「十分備えている」「ある程度備えている」という人と比べて、ストレス値が高いことが分かった。

以上から整理すると、年齢が若い人や女性教諭、また長時間労働の人へのストレスケアが特に大事であるといえる。不慣れな部活動をしている人にも注意が必要だ。

もちろん、教員それぞれの個人差や学校の状況の違いもあろうが、今日紹介したデータなども参考にして、教員の五月病に多くの人が気を配ってほしいと思う。