日本社会で外国人留学生に もっと活躍する機会を与えよう

深掘り 解説委員 鈴木教育新聞特任解説委員 鈴木 崇弘(城西国際大学大学院教授・日本政策学校代表)

■落ちる日本の大学の魅力

最近、秋から休学して、米国のある名門大学で学ぶことを決めている東大生に会う機会があった。この方のように、学部から海外の大学を目指す優秀な学生が増えているといわれる。

また、東大をはじめとする日本の有名大学の世界ランキングが軒並み落ちている。

これらはある意味、日本の大学の魅力が落ちていることを意味しているといえよう。その点に関しては、筆者自身、大学で教鞭(きょうべん)・研究する者として、じくじたる思いだ。

■外国人留学生の全体像

他方、独立行政法人学生支援機構(JASSO)が2017年12月に発表した、同年度外国人留学生在籍状況調査などによれば、同年5月1日現在で留学生数は26万7042人(日本語教育機関在籍者数は7万8658人、それ以外の高等教育機関在籍者数は18万8384人)となっている。

留学生数が10万人を超えた03年と比較すると、日本語教育機関在籍者数の伸びが大きく全体の約3割を占めているが、その他も確実に増加しており、この十数年で2倍以上に増加している。

それは、日本の場合、外国人留学生は正規にバイト代を稼げることや、外国人私費留学生には文科省からの補助金で大学授業費の減免措置が行われるようになっていることなどが、かなり影響していると考えられる。

筆者の経験からすると、海外の場合、留学生は基本的にバイトを含む就業が認められず、認められてもバイト時間の制約が厳しい。かつ自国民や在住者よりも高額の授業料が課せられる場合がほとんどである。その点からすると、日本の大学は国際的にみても、留学生に対して非常にレアな対応をしているといえる。

さらに日本は現在、少子高齢化が急速に進展し、生産年齢人口が急速に減少して、人手不足の状態にある。その状況を補完するべく、現在の安倍政権は、基本的に移民政策を取らないまま外国人労働者を受け入れる、さまざまな仕組みを取り入れてきている。結果として、留学や技能実習制度が悪用され、外国人を安価な労働力として使うといった問題も生んでいる。

■留学生の実態

しかしながら、グローバル経済の急速な進展、日本における生産年齢人口の減少やイノベーションの欠如の中で、どのような事情や理由があるにせよ、多くの留学生が日本に来て学んでいる事実を、日本の今後に生かせないかと考えるのである。

筆者が教鞭をとる大学院も、約9割は中国をはじめとするアジア、および欧米の約10カ国の留学生で構成されている。その多くは、バイトなどをしながら一生懸命に勉強し、将来の夢を描いている。留学生たちは卒業後、ずっと日本で働きたいと考えているか、将来帰国するにしても、日本で就職して何年かは経験を積みたいと考えている。

彼らの中にはオールイングリッシュコースを履修し、英語だけで学んでいる者もいるが、習得が難しいと言われる日本語の能力を向上させながら、勉学に励んでいる者も多い。中国や韓国からの留学生以外は、漢字を習得するのに四苦八苦しているが、頑張って、見事に日本で就職する者もいる。

いずれにしろ彼らの多くは、ある程度の日本語能力があり、日本の社会や生活(習慣)にも慣れている。しかし、日本での就職はまだまだ壁があり、容易ではないのが現状だ。

今後のAIのさらなる進展で、言語的バリアーがさらに下がる、あるいはほぼ無くなれば、彼らが日本社会でもっと活躍できるようになるし、日本人の側も、彼らとのコミュニケーションの壁は低くなる。

■問題解決に留学生を生かせ

現在、日本の労働力不足の問題に対処するために、いろいろな課題や問題はあるが、日本社会も外国人材を受け入れて、活躍してもらう方向に動き出している。

これまで日本社会にほとんど関係のなかった人材を日本に連れてくるのは至難の業だし、問題や課題も多い。

それよりも、現在日本に居て、特に大学をはじめとする高等教育機関で頑張っている留学生に注目して、彼らにさまざまな形で活躍してもらい、経験を積んでもらえば、彼らにも大きな意味がある。そして、現在の労働力不足という問題の解決や日本社会がイノベーションを起こしていく上での刺激・きっかけにも貢献できるだろう。

そして、彼らが日本での人的ネットワーク形成後に帰国すれば、将来はその国と日本との新しいビジネスを生む可能性も高まる。つまり留学生に機会を与えれば、彼らと日本社会は、短期的にも中長期的にもウィンウィンの関係になれるのである。