ブロック塀倒壊はなぜ防げないか 子供の命を守ることを最優先に

6月18日に発生した大阪府北部地震で、高槻市立寿永小学校のプール脇ブロック塀が倒壊し、小4女児が死亡したことを受けて文部科学省は学校のブロック塀の安全点検の実施を全国の教育委員会などに要請した(本紙1面既報)。同じ悲劇を繰り返さないために何が必要なのだろうか。

■「違法状態」のままが多数見つかる

今回の事件の大きなポイントは二つある。一つ目は、ブロック塀という全国の学校や通学路の至るところにある設備が倒壊したこと。

二つ目は、倒壊したブロック塀が建築基準法の基準に合致しない「違法状態」にあったことだ。

2011年の東日本大震災を契機に文科省は、学校施設の耐震化を進めてきた。現在の学校施設の耐震化率は98・8%に上り、ほぼ耐震化が完了した。それに伴い、学校関係者などの関心は体育館の吊り天井、校舎の外壁や照明など「非構造部材」と呼ばれる部分の耐震化に移っている。

しかし、学校内外のブロック塀は、耐震化の対象となっていなかった。どこにでもある、ありふれた設備だけに、今回の倒壊事故は、学校関係者にとっては、「間隙(かんげき)を突かれた」形になった。

ブロック塀の危険性が、全く指摘されなかったわけではない。1978年の宮城県沖地震の際、ブロック塀倒壊で多数の死者が出たことを受け、安全基準が見直された。

にもかかわらず、寿永小学校のブロック塀は、安全基準が定めた高さ制限を超え、「控え壁」という補強措置もないなど「違法状態」のままだった。もっともこれは高槻市だけの問題ではなく、大阪府北部地震後にブロック塀の点検をした自治体でも、安全基準を満たしていない学校のブロック塀が多数見つかっている。

■「予算」という現実問題が障害に

語弊があることを承知で言えば、ほとんどの人間は、悲惨な事故が起きるまで、災害の危険性をきちんと認識することは難しい。そこに「予算」という現実問題が絡めばなおさらだ。

実際、文科省は学校の耐震化を進めていたものの、東日本大震災が発生するまで、耐震化率は低いままだった。また震災後も耐震化率が低い自治体が依然として存在し、全国全ての市町村の学校耐震化率を公表するという「荒業」を文科省が行ったことで、ようやく学校施設の耐震化完了のめどがついたのが現実だ。

ブロック塀という設備の危険性が判明した現在、早急に学校、通学路のブロック塀の点検を行う必要がある。政府の地震調査委員会が公表した18年度版「全国地震予測地図」によると、日本全国のほとんどの地域で、今後30年以内に震度6以上の地震が起きるとされている。

既に文科省は、ブロック塀の一斉点検を全国の教育委員会などに要請している。全国の自治体や教育委員会には、点検に真摯(しんし)に取り組むことが強く求められる。

■命を守るために必要な措置を

もう一つ指摘しておきたいのが、学校統廃合などの考慮よりも「子供たちの安全」が優先されるということだ。校舎など学校施設の耐震化の遅れは、少子化による学校統廃合への考慮が、大きな原因の一つになったと指摘されている。

現在、少子化の進行により、多くの学校が統廃合の候補となっており、また将来候補となる可能性がある。地方自治体の財政事情を考慮すれば、近い将来、統廃合になる可能性のある学校に必要以上の予算をかけたくないというのが、恐らく自治体や教育委員会の偽らざる本音だと考えられる。

しかし、それでは、せっかく一斉点検をして、危険箇所や違法状態にある箇所が見つかったとしても、そのまま放置される懸念もある。

15年に会計検査院が発表した調査によると、建築基準法により3年に一度の施設点検の義務のある自治体が設置する学校のうち13.1%が点検を実施していない。さらに、点検を実施した学校でも84.2%が劣化補修などの必要な措置をしていなかったという。

財政事情や学校統廃合などの「大人の事情」で、子供たちを危険にさらすことは、絶対にあってはならない。政府も地方自治体も、それを肝に銘じてブロック塀の一斉点検に取り組んでもらいたい。子供の命を守ることが、何よりも優先である。