もうすぐ夏休み 在り方を考える

妹尾写真教育新聞特任解説委員 妹尾昌俊(教育研究家、中教審委員)

 ■夏休みは何のため?

もうすぐ夏休み。うちは中学生と小学生の子供がいて、この時期はいつもワクワク、ソワソワしている。いまの子供たちは毎日6時間前後も授業を受けていることを考えると、久しぶりにハードな日々から解放される――という感じだろう。

教職員にとってはどうだろうか。研修や会議、じっくり教材研修、部活動指導などをする予定もあろうが、やはりいつもよりはよほど‶ゆとり”があるにちがいない。ランチタイムも同僚らと外食する人もいるだろう。日頃、給食指導や提出物のチェックを片付けるため、5分やそこらで給食を終えているのとは大きな違いだ――という人もいると思う。

実は、夏休みの目的や意義については、今ひとつはっきりしない。明治期に欧米に倣って学校の制度が整えられる中で、当時の学校は欧米と同様に、9月始まりで6、7月には終えていたから、その名残ではないかという説もある。また、多くの人が実感しているように、暑さを避けて長期休業が設定されているという考え方もある。

静岡県の吉田町が夏休みを16日程度にする(前後の土日も含めて)と昨年発表して話題になった(保護者や教職員の反対意見もあって、結局、2020年度に先送りになった)。この是非は別途検討が必要だとしても、夏休みをどうするかは、各教育委員会の裁量による。国(文科省など)は何日以上夏休みを取りなさい――などとは強制していない。

夏休みの意義をどこに設定し、どう考えるのか。教育行政や教職員のみなさん、さらには児童生徒や保護者にとっても、改めて議論してほしいことだ。

その際、ぜひ検討してほしいのが次の二つの論点、テーマだ。

■論点1:子供にとって‶ゆとり”になっているか

教育業界には「ゆとり教育」の批判以降、‶ゆとり”という言葉に誤解のある人や嫌悪感を抱く人もいるが、子供たちの生活にとって、ゆとりは大事なことの一つだ。

夏休みはじっくり何かに取り組んだり、自由気ままに過ごしたりするのも意義があるだろう。だが、次の問題が残っている。

・部活動や補習、模試などが多いと、それほどゆとりある生活にはならない。

・長期休業以外の通常の日々のゆとりのなさをどう考えるか。吉田町のように、通常の時期に5時間授業を実施して、多少のゆとりをもたせ、夏休みは短縮するという考え方もあり得る。

■論点2:教員にとってリフレッシュになるか

働き方改革、休み方改革の文脈でも夏休みは大切だ。だが、この期間も、研修やそのリポート提出などに追われる、部活動でも大会、コンクールなどもあって毎日忙しい人もいる。

教師のリフレッシュ期間、充電期間にしてもらおうと、かなり多くの自治体においては、学校閉庁日を設置する例がここ1、2年で増えている。お盆の時期を中心に3日程度のところもあれば、岐阜市のように16日という例もある。

閉庁日の学校では日直を置かず、電話も取らない。教育委員会は研修や会議などで招集しない。緊急時は教育委員会や校長・教頭が対応する例も多いようだ。教職員にとっては有休取得奨励日であり、強制ではないが、まとまった休みを取れるチャンスである。

ほとんど予算のかからない施策であるので、急速に広まっている。

だが、これもいいことばかりではない。閉庁日以外に研修や残務が山ほどある学校もあるし、お盆の時期は観光などが混み合う時期でもある。部活動の休養日もセットにしないと、実質休めない。

また、夏休みに多少有休が取れるからといって、日々の過労死ラインを超えるほどの長時間労働の実態が正当化されるものではない。

国の教員勤務実態調査によれば、年間10日以上有休を残している教員もかなりの数に上りそうだ。健康管理の観点からも、7月の夏休みを待たず、しんどくなる教職員も少なくない。「夏休みがあるから」では、安心はできない。

◇ ◇ ◇

もちろん、今の時期に今年の夏休みの期間や在り方を大きく変えることは困難である。だが、この時期だからこそ、来年度以降の在り方を、関係者は主体的、対話的に考えてほしい。

学校の先生は宿題を出すのが好きだし、これは、私からの夏休みの宿題としておこうか。