文科省概算要求は 焼け石に水か?

妹尾写真教育新聞特任解説委員 妹尾昌俊(教育研究家、中教審委員)

■英語専科等の加配は10校に1人?

8月末に各省の2019年度概算要求が公表された。

おそらく教職員や教育委員会関係者にとって、最も関心が高いのは教職員定数であろう。小学校の英語専科で1000人、中学校生徒指導の強化で500人、共同学校事務体制強化で400人(事務職員)、主幹教諭の配置で100人の増員を目指した内容となっている。

厳しい財政事情の中、文科省も頑張ってはいるが、正直、現場感覚からすれば、失望だろう。毎年繰り返されてきたことだが……。直近の学校基本調査(2018年度)によると、小学校は約2万(正確には1万9892校)、中学校は約1万(1万270校)あるので、例えば、英語専科が去年の加配千人と合わせて2千人に増えたとしても、10校に1人程度だ。これでは、小学校教員の持ち授業時間がパンパンな状態は、ほとんど改善しそうにない。主幹教諭については既に配置している自治体もあるが、全国で100人増では実証実験程度にしかならない(しっかり検証することは大事だが)。

しかも、文科省は昨年も概算要求で英語専科と生徒指導で2700人増を計画したが、財務省からは認められず、結局大臣折衝にまでいって、やっと約千人分確保した経緯がある。今回は2000人の定数増を目指しているが、満額認められる可能性は低いだろう。

■部活動指導員等は歓迎だが、安すぎ

「チーム学校」ということで、教職員以外のスタッフの拡充も引き続き進められる予定だ。今回の概算要求によると、スクール・サポート・スタッフ(以下SSS)は4000人で1000人増、部活動指導員は1万2000人(18年度予算は4500人)を確保したい意気込みだ。

SSSは既に導入している学校を訪問しても、非常に評判がよい。純粋に、教員の一部の仕事(印刷、データ入力など)を代行してくれるからだ。また、報酬は高くはないとはいえ、主婦などのちょっとしたアルバイトとしても、子供が帰宅する頃までには終業となるし、ニーズと合っている部分もある。既に静岡県吉田町など、国の制度以上に独自に拡充している自治体もほんの一部だがある。ぜひ広げてほしいと思う。

部活動指導員の増加も現場としては歓迎だろう。ただし、仮に1万2000人分が満額認められたとしても、中学校1校当たり1人ほど。20の部があれば、一つか二つしか見てもらえないので、抜本的な解消になるわけではない。学校と教委は、部活動指導員に頼る受け身的な姿勢ではなく、部活数の精選(地域への移行などを含め)や休養日の増加も進めなければ、持続可能な部活動にはなりえない。

しかも、割り算すればすぐ分かるが、1人の指導員当たり年額約11万円しか積んでいない(国の負担率は1/3なので、指導員の手当実額は3倍しても約33万円)。この報酬水準で、平日夕方や土日に来ることができ、実技指導が可能で、生徒と接する上でも安心できる、そんな高望みをしているのだから、本当に指導員が集まるのかは疑問符が付くところだ。

スクール・カウンセラーやスクール・ソーシャル・ワーカーの増員も目指しており、いじめ問題や複雑な事情を抱える家庭への支援としては歓迎だ。もっと訪問頻度を増やしてほしいという学校現場のニーズは強いが、限られた予算なので、学校の困難度などに応じメリハリを付けて派遣するようにしてほしい。

以上、働き方改革関連で概略を見てきたが、さて、今回の概算要求は、長時間労働がまん延する学校現場からすれば、「焼け石に水」だろうか?

確かに、教職員定数などはそう言われても仕方がないかもしれない。だが、SSSや部活動指導員をきっかけに、業務の棚卸しをして、学校の役割や教師の仕事のスリム化も進めてほしい。部活動や行事の見直しなど、ほとんど予算をかけずにできることも多い。

■安全対策と働き方改革

あと2点付言したい。今回の概算要求では、高槻市の児童が犠牲になったことや猛暑での空調不足を受け、公立学校施設の安全対策・防災機能の強化が大幅増(18年度予算比で3.6倍)となった。教職員定数については、もっと世論の後押しが必要だ。

また、働き方改革関連施策のほとんどは小・中である。高校の長時間労働も深刻だが、取り残されている感がある。