移行措置2年目に向けて 学びの状況に即した指導の工夫を

教育新聞論説委員 寺崎 千秋

移行への取り組みは弱いのか

新教育課程への移行に関して学校の取り組みが弱いという声をよく聞く。全国連合小学校長会の会報や情報では、移行に関する情報や取り組みを目にするが、一部にとどまっているとすれば心配であり問題である。改めて移行2年目のポイントを確認する。

全面実施した道徳科、総合的な学習の時間(一部を除く)、特別活動の全体計画や指導計画は万全であるか。生活、音楽、図画工作、家庭および体育は全部または一部について新指導要領によることができる。他の教科については新指導要領の一部を追加、適用や現行指導要領の一部を省略または適用しない、などが定められている。これらに抜けや漏れ、重複などがないか。新指導要領の全面実施に向けて確実な取り組みが求められる。

移行期間は移行措置を確実に実施しながら、新教育課程の編成、それに基づく全体計画や指導計画の作成に取り組み、2020年4月に新教育課程を完全に実施できるようにしなくてはならない。19年夏ごろには新教科書が採択される。新たな教科書教材を基に各教科の指導計画を作成する。

その際十分に配慮することは、知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力などの育成、学びに向かう態度、人間性の涵養(かんよう)の指導を習得・活用・探究の学習過程にどう位置付けるかである。また、それらの学びにおいて学習の基盤となる資質・能力をどのように育成するか、地域の教育資源をどう効果的に活用するか、そのために教科等横断的な指導計画をどのように作成するか、各学校の創意工夫が求められる。これらについての計画や工程表を3学期中にしっかりと立て、組織や役割分担を明確にして取り組むことが求められる。

全面実施した道徳科などの評価・改善を

移行措置1年目に全面実施した道徳科、総合的な学習の時間、特別活動、あるいは教科においても、授業実践の評価を確実に行い、課題を明らかにして、指導計画を改善する。また、全面実施2年目に備え、教科等横断的な視点で資質・能力の三つの柱の育成や学習の基盤となる言語能力、問題発見・解決能力、情報活用能力などの育成を踏まえて指導計画の充実を図ることが必要である。

資質・能力の育成のためには、何よりもそれを実現する授業の充実、質の向上が求められる。各学校では総則などで重視された授業改善の視点である主体的・対話的で深い学びの実現(アクティブ・ラーニングの視点)に取り組んでいよう。特に、一人一人の子供の学びの状況に即した指導の在り方や工夫が求められる。これまでに各学校での校内研究・研修で蓄積されてきた指導方法やこれに関する知見を全員のものにし、さらなる子供の学びの質の向上を目指した取り組みが求められる。

自らのマネジメント力の向上を図る

カリキュラム・マネジメントで重要なことは、一人一人の教師が自らのマネジメント力を三つの側面から見直し、その能力を高めることである。子供にとって楽しい学校生活や、分かる・できる・自分でできた・新しい課題を見つけたことを実感できる授業をつくり出していくのはカリキュラム・マネジメント力である。こうした力量を確実に身に付けていけるよう研修の機会を確保することは管理職の責務であるが、一人一人の教員の認識と自覚も求められるところである。

働き方改革が大きな課題になっている。制度やシステムの改善を求められることも多いが、教師自身、一人一人が何を、どう自己改善していくかを考えることも必要である。これも職場の中で協働して考えを出し合い工夫し合っていくことが大切ではないか。

この他に、「チーム学校」としての機能の向上を図ることや、家庭・地域への説明、協力・連携なども移行期間に意図的・計画的・組織的に行い、社会に開かれた教育課程の理念に沿うように取り組むことを大切にしたい。

(元全国連合小学校長会会長)